• 2020/10/02

    佐々木 達也

ドラマ『半沢直樹』を経営学の視点から考える

2013年と2020年に放送されたドラマ『半沢直樹』シリーズは、どちらも高視聴率ドラマとして名を刻みました。主人公が窮地に陥りながらも、熱い想いで部下をはじめとする銀行内外の人を巻き込み、最後には「倍返し」を決める痛快なストーリーは、幅広い世代の人々の心を掴みました。

ドラマには経営学のエッセンスが満載

ところで、主人公のメガバンクで働く半沢直樹の出身学部はご存じですか?原作の小説では半沢直樹は経済学部を卒業して銀行に入行したと描かれています。

しかしながら、ドラマの中では経済学部よりも経営学部の学生が学んだり耳にするトピックが数多く登場します。今回はその中でも特に印象的な3つのキーワード「事業のシナジー」「リーダーシップとマネジメント」「モチベーション」について、ドラマの内容を思い出しながら考えてみましょう。

1)事業のシナジー

シナジーとは、一見無関係に見える二つの要素が掛け合わさることで倍以上の効果を生み出すことです。まさに『1+1=∞』という状況です。

スパイラルとフォックスの合併・買収劇においては、フォックスの子会社であるEC企業『コペルニクス』とスパイラルの検索エンジンを合わせた新規事業が、まさに事業のシナジーを生む将来性のある成果として提示されていました。

2)リーダーシップとマネジメント

半沢が出向した『東京セントラル証券』で、銀行からの出向組の態度によってモチベーションが下がっていた部下・森山(賀來賢人)をケアするように飲みに誘い、きちんと仕事をしている森山の姿を見ていることを伝えてモチベーションを向上させたシーンは、半沢のマネジメント力の高さを示していました。

また、権力を振りかざすだけの出向組と同じ立場だった半沢が、部下を鼓舞しながら的確な指示と役割を与え、自身も先頭に立って仕事に打ち込む姿は、見事なリーダーシップを見せていたといえます。

マネジメントには、業務を管理する能力と部下・チーム内の関係を良くしていく能力の二つが求められます。過去に日米両国でどちらの能力が業績を高めるのに効果があるのか調査・研究されたことがありますが、その結果は「両方の能力を備えていないと十分に業績を高めることはできない」というものでした。

3)モチベーション

森山と中学からの同級生だったスパイラル社長の瀬名(尾上松也)は、自社の買収が阻止できた時、「信頼できる仲間と仕事がしたい」とスパイラルの財務担当役員への就任を要請します。

しかし、森山は半沢が語った「大企業にいるから、いい仕事ができるわけじゃない。どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って日々奮闘し達成感を得ている人のことを、本当の勝ち組というんじゃないかと俺は思う」という言葉に感銘を受け、金融業界で頑張ることを伝え、瀬名の申し出を固辞します。

マズローの欲求階層説では、まずは生きたいという欲求、そして他人に認められたいという欲求、そして最後には自分を成長させたいという自己実現欲求に至るとされています。森山がスパイラルのCFO就任を断ったのは、まさに証券会社での仕事が面白いからという内発的な自己実現欲求に従った結果といえるでしょう。

主役が経営学の学びを実践して見せ場を作るドラマ

テレビドラマをごく普通にストーリーや演技の視点から楽しむ見方が面白いのは間違いありません。しかし、テレビドラマをマーケティング的視点から見ることができれば、また別の楽しみ方や面白さを感じることができます。ただ、それには経営学やマーケティングの知識がないとできないのも事実です。

例えば、半沢直樹は経済学部出身ですが、経済学部と経営学部では学ぶ内容が異なります。そう考えると、経済学部OBである半沢の経営学的な人材育成術や考え方は、銀行内の研修や担当先とのやり取りの中でOJT的に学んだものではないかと推測できます。そういったことを考えながらドラマを見ると、半沢の言葉にさらなるリアルさを感じるから不思議ですよね。

考え方や行動が世の中を変える体験ができる

どの大学の経営学部でも、先述した3つの内容について学ぶことでしょう。ただ、座学で学んだだけだと、知識としてキーワードだけが頭の中に残っているというケースが多いのも事実です。武庫川女子大学経営学部では、こうした内容について実践を交えて学ぶことを重視する実践学習を標榜しており、それはカリキュラムにも反映されています。

実践学習のフィールドは多彩で、企業の新商品開発に加わったり、ビジネスプランコンテストに挑戦したり、団地の高齢化対策に参画したり、さらには行政の施策サポートに学生たちが先頭に立って取り組むなど、本当にさまざま。理論や考え方を学びながら実践の場で学ぶことにより、理論や考え方の根底や未来にある「理論の意義」や「何が変わるのか」を身をもって知ることができます。さらに、行動に対する世の中の変化まで実体験することで、理論に対する理解も深まります。

実践と理論を同時に学べるのが理想的な学習環境

若い人たちには、自分の能力以上と思うことにどんどん挑戦してほしいです。きっと失敗することも多いでしょう。

しかし、できそうなことに挑戦して成功しても得られる学びはそう多くありません。成功体験よりも失敗体験の方が多くの学びを得られるのです。失敗してでもより多くの学びを得たいという人にとって、実践学習と理論学習を同時進行で取り組める当学の取り組みは理想と言えます。

ぜひ武庫川女子大学経営学部で、理論的な学びと実践的な学びをしっかりと得ていただければと考えています。

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