• 2023/06/28

    西口 智美

一生を描ききる女性力とは

本学の経営学部が設立されて、今年で4年目になります。私はゼミ生20名の就職と卒論を考えながら、二人目の娘を出産しました。ゼミ生と娘には、将来幸せで豊かな人生を歩み、自分の思い描く絵を生涯を通して描ききってほしいと願っています。人、家庭、社会に貢献できるこの時代に相応しい女性像とは何かを考えてみたいと思います。

 

女性のキャリア形成強化が少子化の原因?

ここ数年、新型コロナウイルスやウクライナでの戦争が、私たちの生活に大きな影響を与えました。そうした中で、日本の国力に影響する問題である少子化問題を根本から解決しようとする取り組みが始まっています。しかしながら、そうした取り組みのベースとなる少子化対策と女性の社会進出支援策の間には一見矛盾があるように感じます。その矛盾とは、女性が社会の中で活躍できるよう支援するほど、独身女性が増えて結婚年齢も上昇し、その結果、少子化対策以前に結婚しようとする女性が減少するからです。

少子化の原因を深掘りすると、決して女性が経済力を手に入れたからではないことは、他の先進国の状況を見てもわかります。なぜなら「男性は仕事、女性は家庭」といった男女の分業化が一般的だった国は日本だけにもかかわらず、他の先進国も少子化が進行しているからです。その結果浮き彫りになってきたのが、女性が自分らしさを追求し、キャリア形成に力を入れるようになったという時代の流れが少子化の一因ではないかということです。

今は家庭とキャリアの両立が可能な時代

これまでの日本では、女性が仕事と育児を両立することは極めて難しかったため、多くの女性が二者択一を迫られていたのは事実です。

私が尊敬する社会学者・上野千鶴子先生は、生涯独身で研究者の道を歩みました。彼女の『家父長制と資本制』(1990年)や『おひとりさまの老後』(2006年)といった著書が、研究者を志していた学生時代の私にインパクトを与えてくれました。当時は女性が自分らしさを追求するのに家庭と仕事のどちらかを放棄しなければいけなかったのが、少し残念に思いました。

しかし、今の時代は違います。女性も自分が理想とする生き方を追い求められるようになりました。アメリカのフェイスブックCOOであるシェリル・サンドバーグは、その代表者の一人です。彼女は三度の結婚を経て、2人の子供を持つキャリアウーマンです。彼女の著書『LEAN IN』では、「幸せとキャリアは両立できる」という主張が、多くの女性に夢と勇気を与えて世界中でベストセラーとなりました。私も彼女の主張に共感し、現代女性が追い求めるべき姿だと考えています。

ただ、日本ではその実現が未だ困難に満ちていることも事実です。リーダーシップが必要だったり、責任あるプロフェッショナルな仕事をめざそうとすると、やはり周囲の要求レベルも高くなります。しかも、1日が24時間というのは平等ですから、男女関係なく大半の人は何かしらの犠牲を払うことになるのですが、たまたま女性は結婚や出産を諦めるパターンが多いということです。

西口ゼミの学生たち

家庭とキャリアの両立に必要なこと

女性は女性である前に、ひとりの人間として自立心と自信を持つことが大切だと思う一方、女性である以上、妻として母としての幸せも経験することによって、より豊かな人生を手に入れられると考えます。仕事と家庭のどちらかを選択するのではなく、両方のバランスを取れる幸せな女性が、社会の様々な分野でリーダーシップを発揮すれば、私たちの社会はもっと幸せになるでしょう。

家庭とキャリアを両立するために必要なことは、大きく二つあると考えます。

ひとつ目は、家庭とキャリアは両立できるという意識を持つことです。まずは自分自身の中にある「女性だから」という固定概念の打破が不可欠なのです。ただ、私自身も家庭とキャリアを両立する難しさを実体験しています。良い仕事をしたいと突き詰めていくと、どうしても時間配分が仕事寄りになり、家庭を犠牲にしてしまう部分が出てきがちです。そうならないためにも、次のふたつ目が大切です。

そのふたつ目は完璧主義を捨てることです。ハイレベルな仕事をこなそうとする人にありがちなのが完璧主義です。ただ、完璧主義で家庭とキャリアの両立をめざすのは非常に困難です。なぜなら家庭を持って子どもが生まれると、自分の都合で物事を動かせなくなることが格段に増えるからです。両立するにはまず、思いどおりに動かない現実を受け入れ、一人の力の限界を認識し、妥協、協力、合理性を学んでいくべきです。このような学習によって、周囲の人々とお互いに支えあう絆が見えてきたり、協業によるシナジー効果や一人では味わえない達成感を得られるかもしれません。そうすると、人生の様々なライフステージで直面する不確実性、困難、決断が迫られた時、女性らしくしなやかに乗り越えられるでしょう。

授業の様子

『両立の鍵』を手に入れておこう

個人の生き方が尊重される時代では、もちろん両立せずに、キャリアと家庭のどちらか一方だけで良い、という考え方も否定されるべきではありません。ただ、産休制度や育休制度の充実など、一度仕事から離れても復帰できる企業が増加しているという時代の後押しもあり、両立できる環境が徐々にではありますが整い始めています。だからこそ、家庭と仕事を両立したいと考えた時に実現できるよう、学生の間に必要な学びやスキルをしっかりと手に入れ『両立の鍵』を手に入れておいてください。

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