• 2023/11/07

    鈴木 基史

女性らしい「身の丈起業」に焦点を当てた起業講座を開催

2023年7月より武庫川女子大学公江記念館(KM館)を会場に、経営学部企業人材育成講座「企画力を磨いて夢を叶える! 自分で始める小さな起業講座」(受講料無料)を開講しています。昨年度に引き続き2回目の開講となる本講座の特徴や内容、過去の成果に加え、本講座の意義などをご紹介します。

兵庫県が県内の大学と連携して実施する取り組みのひとつ

本講座は、兵庫県が兵庫県内の大学と連携し、県内の起業を促進する取り組みの一環として行われるもので、受講料は無料です。武庫川女子大学は女子大学であることを生かし、起業したいと考えるさまざまな世代の女性をターゲットとした講座を開催することになりました。近年は女性のネットワークや感性を生かしたビジネスで起業を検討する女性も増えており、さまざまな世代の女性に受講していただいています。
講座の特徴はいくつかあるのですが、最大の特徴は講座名にもある「小さな起業」を考えている方をターゲットとしている点です。世の中の企業セミナーの多くは「上場をめざす」や「急成長」を掲げ、起業時から高速かつ大きな成長を意識した内容となっていますが、女性が意識するのは「身の丈に合った起業」、「自分のペースで取り組める起業」が多いようです。近年増えつつある副業としての起業も含め、どれも将来の拡大成長よりも安定性や継続性を重視した起業アイデアや事業運営手法が必要です。そこで本講座では、武庫川女子大学経営学部で中小企業の女性活躍などの研究に取り組む山下紗矢佳先生にも協力していただき、「小さな起業(身の丈起業)を考えている女性」に焦点を当てて、講座の仕組みや内容を構成しています。
さらに、子育て世代の女性が参加しやすいよう、あえて平日の昼間に講座時間を設定しているのも特徴のひとつと言えるでしょう。

メンター制度やコーチングで起業へ向かう受講生をサポート!

本講座では講座カリキュラムとシステムの両面から、講座での学びを実際の起業につなげるためのサポートを行います。
まず講座カリキュラムは、起業の強い味方となる事業戦略コンサルタントをはじめとしたプロによる講義が行われます。
カリキュラム内容も企画力やマーケティングについて学ぶ「ビジネスアイデア創出」に始まり、顧客価値や事業性評価を学び、ビジネスモデルの設計や具体化に取り組む「ビジネスモデル作成」、そして起業の実践につながる数値計画や資金計画、収支計画を組む「ビジネスプラン作成」と、夢や目標を具体的な形にする実践的な内容が学べる内容になっています。特に起業において重要なビジネスアイデア創出の部分にもしっかりと比重を置いているのが特徴です。
さらに講座システムとして、メンター制度とコーチングを導入しています。
起業をめざす人が苦手とする経営や数値計画などの実務面については、メンターとして中小企業診断士が参画し、実務面をサポートすると同時に、何でも気軽に相談できる体制を構築しました。加えて、目標達成支援の手法「コーチング」を活用できる体制も整えました。プロの女性コーチが講座の要所で参加し、起業という挑戦に向けて取り組む中で揺れ動く受講生のメンタルをサポートします。また女性コーチは、起業を実現する上で重要な「自発的な行動」への意識付け、行動のサポートも行います。

昨年度はひとりが起業、数名が起業準備中という成果が!

昨年度開催した講座を通じて明らかになったのが、起業をめざす女性に立ちはだかる大きな壁は数値管理や経営などの実践部分にあるという点です。そこで今年度は、中小企業診断士のメンターと女性コーチのコーチングが連携する体制を構築しました。起業をめざす人が最も苦手意識を持ちやすい数値管理や経営の部分を丁寧にサポートすることで、夢を実現する受講生をひとりでも増やしたいと考えています。
昨年度は20名が受講し、現時点で1名が起業、数名が起業準備段階に入っている状況です。それ以外の受講生も「授業を重ねるうちに自分のやりたいことや想いがハッキリした」や「グループごとにメンターの方が付いてくださり良かった。ひとりでは詰めが甘くなる部分も指摘してくれて参考になった」、「事業計画書の作成が不安でしたが、アピールポイントや流れのアドバイスをいただけたので、自分で作れました」など、着実に自分自身の成長や起業に近づく実感を感じておられました。
ポイントは「何となく起業に興味がある状態でも受講できて、受講すれば起業への関心や行動が高まる。中には起業に向けて行動する人もいる」ということ。人それぞれの事情や状況に応じて、一人ひとりが起業への意識を高められるのが本講座の最大のポイントと言えます。

ひとつの講座が多様な意味を持ち、地域活性化に貢献する

近年は、国や地方自治体が女性の社会進出の促進に積極的に取り組んでいます。もちろん大学も地域の活性化に貢献する存在でなければなりません。今回の講座は官学連携、地域活性化貢献、社会貢献、女性活躍促進など、さまざまな意味があります。
山下先生も「西宮市の大きな課題のひとつに産業振興があります。酒造など日本有数の規模を誇る産業もありますが、既存産業の成長は急速には進みません。西宮市内には多くの大学がありますから、今回の起業の講座のような場を活用して新たな産業の種を芽吹かせ、育て、花開かせる取り組みを行うことは価値があります」とおっしゃっています。
最後に、今回の講座はKM館で開講されているので、講座受講生の皆さんが学ぶ姿を見たり交流する機会あれば、学生と受講生、双方にとって刺激になるでしょうし、新しい何かが生まれるかもしれません。そんな瞬間が生まれることを楽しみにしています。

入試情報

資料請求