• 2022/04/25

    西口 智美

ブランドコミュニケーション研究室 〜西口智美ゼミ〜 について

武庫川女子大学に経営学部が設立されて3年になります。経営学部でもいよいよ第一期のゼミ生を迎えており、私の研究室のテーマは『ブランドコミュニケーション』です。
一般的に皆さんがイメージするブランドと経営学のブランドは少し異なります。それはどのように異なるのか、また、経営学のブランドを研究することが社会でどのように役立つのか、そして西口智美ゼミではどのようなことを学び、何が得られるのかなどについてご紹介します。

ブランド経営こそ、市場の不確実性に対抗できる

皆さんがブランドと聞くと、最初にルイヴィトンやシャネルのような高級ブランドの贅沢品をイメージするのではないでしょうか。しかし冒頭にも書いたように、経営学における『ブランド』は少し異なります。経営学では、企業の経営理念や経営戦略、従業員の行動や意識、顧客からの信頼などをブランドとして捉えており、さまざまな企業の行動や取り組み、長年にわたり蓄積してきた有形無形の資産がもたらしたブランドが、業績や経営に対してどのようにプラスあるいはマイナスの影響を与えるか、さらには社会に貢献できるかを研究しています。

経営学におけるブランド研究について、私たちの感覚や認識、認知、頭の中に蓄積されている印象など、非常に数値化しにくい要素がブランドを形成しており、それが業績や経営に影響を与えていると考えられています。
さらに、業績が良い企業は数値化しにくいさまざまな評価も高いという現実があります。例えば、「従業員がイキイキと幸せに働いている」や「長年顧客に愛される商品を提供し続けている」といった評価は、とても数値化しにくい要素ですが、ブランドを構成する要素として大きな位置を占めていると考えられます。
こうしたことから、真の社会貢献をめざした経営に取り組む企業は、数値化しづらい『ブランド』を経営の重要なファクター、あるいは重要な財産だと私は考えています。

ゼミはブランドの理想な姿を探索する旅

私の研究テーマは企業の経営戦略から反映されたブランド体制とその効果の検証です。大手広告代理店に勤務していた当時から「ブランドをどう構築し、どのように管理していけば企業の業績上昇につながるのか」という問題意識を持ちながら、広告におけるブランドコミュニケーションの仕事に携わってきました。

これまで経営学では、「業績とブランドの関連性」や「ブランドが業績や従業員満足度、顧客満足度などとどのように関連性があるか」といった研究が進められてきました。私のゼミではブランドコミュニケーション、特に今の時代にマッチするような若者目線から見えるコミュニケーションの変化に注目し、より多くの実践的な事例を経験しながら研究を進めたいと考えています。さらに、私の経験とゼミ生が備える若い女性視点を組み合わせ、未来のブランドコミュニケーションの理想像を探っていきます。

例えば、武庫川女子大学経営学部の実践学習で、髪染めで知られているホーユー株式会社の100周年ブランディングプロジェクトに学生たちとともに参画し、老舗ブランドが進化すべき方向を企業の皆さまと一緒に考えるという機会を得ました。ここでは、歴史と信頼を備えた老舗ブランドは、時代の変化や市場ニーズの変化への適応が簡単ではないことを改めて認識しました。
しかしながらビジネスの世界では、変化への適応を受け入れられない企業は、かつての強みが時代遅れとなって衰退の一途を辿りかねません。めざすのは、既存の良さを維持しつつ時代が求める新たな強みをどんどん追加していくというダイナミックな進化を成し遂げながら、次の100年も輝き続ける企業のブランドとなること。そんな目標の実現をめざして、若い女性の視点からさまざまなご提案をさせていただきました。私のゼミではこうした実践的な機会を増やしていきます。

ホーユー株式会社の100周年ブランディングプロジェクト

女性視点を磨き、経営学やブランド研究に一石を投じる

私のゼミでは女性の視点や考え方を磨くことで、従来の経営学でありがちな男性視点を中心とした研究に一石を投じることをめざします。現在、マーケティングやブランドに関する研究者、企業のマーケティング担当者、そして中小企業経営者のいずれも、圧倒的に男性が多いというのが現実です。しかし時代が求めるのは、ブランドに対するプロフェッショナルな知識や視点に加え、男性が思いつかないような女性ならではの視点や考え方、アイデアに他なりません。時代が求める人材の育成は、私の重要なミッションのひとつでもあります。

そこで、ゼミでは企業課題や社会課題の解決をめざす企業や行政からの依頼に積極的に対応します。そして、これらの課題を解決する取り組みで得た経験や知見を独自の広告PRやブランドの研究に生かし、若い女性の視点からブランドコミュニケーションを捉えられる人材の育成をめざします。
そのため、ゼミでの研究テーマは学生自身が主体的に決めていきます。しかしながら、研究を進める上ではチームワークを重視し、学生同士や企業担当者とのグループ討論や議論を通して専門的知識を深めていきます。そこで新たな気づきや発見を得ることで個人的な成長もめざすのが、私のゼミのスタイルです。

ゼミでは『考える力』と『伝える力』を養う

ここまで『ブランドコミュニケーション研究室』の紹介をしてきましたが、ゼミで私と一緒に2年間過ごした暁として、得られるものはふたつあると考えています。
ひとつは問題解決能力、もうひとつは企画書作成能力です。
社会に出た新入社員が就職して一番最初に教え込まれるのが実はこのふたつ。このふたつの能力は、問題や課題を解決するための『考える力』と、解決までの道のりをデータや指標をもとに論理的かつ的確に表現する『伝える力』とも言えるでしょう。そして、このふたつを大学卒業までに身につけていれば、入社直後から即戦力として活躍できる可能性が非常に高いはずです。

最後に、私と一緒に学びたいと考える人に望むことが4つあります。
1)好奇心や向上心が高く、チャレンジしたい
2)自主自発的に自分の未来を切り拓きたいと考えている
3)自信を持ちたい、自分らしさを見つけたいと考えている
4)時間管理、約束を守ることができる
これら4つのうち、ひとつでも持っている、あるいは持ちたいと思っていれば全然大丈夫。なぜなら、ブランドは私たちの生活にすべて関わっているから。好奇心や向上心、自発的に行動する力などがあれば、きっと活躍できるでしょう。

上記4つのいずれかを備えた人、あるいは備えたいと考えている人は、ぜひ一緒に多くの課題解決に取り組みながら、成長の喜びを実感できる時間を西口智美ゼミで過ごしましょう!

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