• 2022/01/31

    高橋 千枝子

Z世代女子が社会を変える!?

最近、メディアなどでも「Z世代」という言葉をよく聞きます。Z世代とは1990年代後半から2010年頃迄に生まれた25歳未満世代の層であり、これから本格的に社会に出ていく世代です。現在の大学生たちは、まさにZ世代であり、今後世界で最も大きな影響を与えると言われる世代です。
今回は、Z世代の特徴、さらにはZ世代と向き合う企業のマーケティングについて考察してみましょう。

Z世代は安定志向で保守的

Z世代の特徴は、何と言ってもスマートフォンとSNSが生活の中心に据えられている点です。テレビやラジオ、新聞、雑誌といった旧来型のメディアに目を通すことは少なく、デジタルネイティブな点もZ世代の特徴と言えるでしょう。

Z世代はテレビを見ないのでマスメディアに踊らされることもなく、ひとり一台スマートフォンを持っています。電話で友達と話すことは稀で、メインのコミュニケーション手段はLINEをはじめとするテキストチャットです。

また、Z世代の行動や考え方には親世代の影響が比較的大きいと考えられます。Z世代の親世代は、バブルを経験しておらず、バブル後の就職氷河期をはじめとする経済全体がマイナス成長や超低成長の時代を過ごしてきた世代で、バブル期のような「未来の消費をめざして頑張る」といった経験をしていません。夢や消費をめざして生きるよりも、今を堅実かつ確実に生きる、そんな意識が高い親に育てられたのがZ世代です。
そのせいかZ世代、とりわけ女子は今の生活を楽しく生きることよりも、将来どうやって生きていくかを今から真剣に考えている人がとても多い。憧れの業界や企業、仕事で働くことよりも、結婚して子どもを産み育てていける業界や会社、どんな資格を取れば長く働けるかなど、現実的な視点で学生時代から考えています。『安定志向』で『保守的』、そんな言葉がピッタリなのかもしれません。

SDGsや社会問題に敏感なZ世代

ここからは、保守的な思考を備えたZ世代の思考や消費行動について考えてみましょう。

まず、Z世代は流行よりも、個性や自分らしさを追求する思考を持っています。従来型の大量生産、大量消費時代に見られたマスメディアによる誘導や流行に左右されることはほぼありません。代わりに、SDGsや社会問題に対して意識が高い。おそらく、そうした教育を小学生など子どもの頃から受けているからだと思われます。ゴミの量を減らしたり、環境問題を意識して行動するといった考え方が、幼少期から刷りこまれています。

その結果、貧困や気候変動などに興味を持ち、実際に学びたいと考えている人も多い。就職先を選ぶ際も、SDGsや環境問題解決への取り組みをしている企業を高く評価するようです。それは就職活動以外の消費行動なども同様です。例えば、安くて高品質なアパレルを製造・販売していても、発展途上国において低賃金かつ過酷な環境下で人々を働かせて生産している場合は、その会社の商品を良い製品として認めません。

逆に、多少価格が高くても、販売した商品の空容器を集めてリサイクルに取り組むような会社には、素晴らしい取り組みをしている会社として好意的な印象を持ち、購入したい意向を持ちやすいようです。

消費行動、思想、信条もソーシャルメディアに影響される?!

もうひとつ、Z世代の顕著な消費行動として物を所有することに価値を感じない、関心が低いという点があります。購入せずにシェアやレンタルで満足します。まさに自動車が典型例で、これまで買うことが当たり前だった自家用車の販売台数が減少しているにもかかわらず、カーシェアやリース、レンタカーの需要が増大しています。

Z世代が主役となるこれからは、流行や衝動的な購買意欲の刺激ではなく、商品のストーリーや企業の姿勢などをじっくりと伝えることで、購買やサービスの利用につなげていくことが求められる時代になるでしょう。

Z世代は消費行動のみならず、政治への関心や投票行動につながるストーリーも独特です。政治や投票に関する情報収集は、テレビ、ラジオ、新聞といったマスメディアではなく、スマートフォンを使ってTwitterやInstagramといったソーシャルメディアで収集しています。投票行動においてもソーシャルメディアの情報を自分なりの価値観で選別し、投票行動の根拠とすることが多いようです。

本当に自分が心から応援しようと思った人や物に対しては、周囲の他人に影響されることなく、自分の想いを貫いて行動します。ソーシャルメディア上での評価やつながりが行動に大きな影響を与える傾向にあるので、Z世代のマーケティングについてはSNSやスマートフォンに最適化することが必須となります。

自分自身のスキルで人生を切り拓きましょう

このようにZ世代はこれまでの世代とは一線を画した消費行動を取りますが、当然のことながら彼ら以外の世代も消費行動があります。まったく消費行動が異なる複数の世代が消費の主役になる過渡期の今、物やサービスを提供する企業側はどのようなマーケティング戦略を採るべきでしょうか。

やはり世代ごとにブランドや商品ラインナップを変えるなど、それぞれ別のマーケティングを行う方法です。その中でもいかに『付加価値』を伝えるか。商品の機能や特徴はもちろんですが、商品が持つストーリーや背景、想いのようなものを丁寧に伝えていく必要があるように思います。そういう意味では、『商品のスペックで売る』よりも『商品の仕組みで売る』ことが重要視されるような気がします。

いずれマーケティングや社会の常識を変えるほどの影響を与える存在になるであろうZ世代。自身もZ世代である女子学生たちは、今後社会人として消費や社会の主役になっていきます。特に女性は男性より消費力や発信力が高いため、社会を変え、影響を与える存在になるでしょう。
ただ、そんなZ世代女子がこれからの社会で活躍して生き残るには、会社の看板や資格など自分以外の何かに頼る方法はなかなか厳しく、人と比べることなく自分の力を信じ、好きなスキルや得意なスキルを身につけて伸ばすことが必要になります。それも、そのスキルで食べていけるぐらいに徹底的に。従来の価値観を捨てて自分の価値観を信じ、自分自身のスキルでキャリアを築いていきましょう。

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