武庫川女子大学 経営学部高橋ゼミ3年
有馬 鈴葉、大西 亜依、玉垣 緋莉、中 詩織
1.はじめに私たちの紹介
はじめまして、こんにちは! 武庫川女子大学経営学部の高橋ゼミです。
私たちは高橋千枝子先生のご指導の下、3年生20人で活動しています。
第5回の記事では、Z世代のお金に対する意識についての調査をし、発信していきたいと思います!
はじめに、私たちが行った調査の概要です。一か月の収入・消費・貯金について、お金を使う目的、投資についてなど、お金をテーマにZ世代の121人を対象として、アンケートを行いました。アンケートはGoogleフォームにより実施しました。
【調査方法】
WEB調査(定量調査)
・調査期間:2023年1月10日~2023年1月20日
・居住地:関西圏中心
・性別:女性
・年齢:10代~20代
・対象:大学生・大学院生
回答者数:121名
2‐1.収入と消費・貯金の実態
関西女子大生は月にどれくらい稼いでいるのか、そして何にどれくらい費やしているのか、貯金と消費の割合について調査しました。まずは、貯金額についてです。
貯金額が全体で5万円以上~10万円以下である人が16.8%と最も多いです。次に多いのが13.9%である10万円以上~15万円以下と100万円以上です。貯金額の多さについて35万円以下を貯金に力を入れてない人、それ以上を貯金に力を入れている人として考えると貯金額が35万円以下で、貯金に力を入れていない人の方が多いです。しかし、あまり貯金をしていない人と貯金をたくさんしている人の割合はそれぞれ約6割と4割であり、大きな偏りはないことがわかります。
続いて、月の収入についてです。月の月収が5万円未満と5万円以上の2つの選択肢を設けました。
月の収入が5万円未満の人が37.4%、月の収入が5万円以上の人が65.3%という結果となりました。
以降、月の収入が5万円未満と5万円以上の2パターンに分けて見ていきます。貯金と消費はどのような割合で行われているのでしょうか。
(月収が5万円未満〉
貯金の割合は1割~3割が多く、消費の割合は8割が多いことがわかります。このことから月の収入が5万円未満の人の貯金と消費の割合は2:8に近いと言えます。また、貯金をしていない人も19%と少なくはありません。欲しいものや遊びなど今、使うための分を自分で稼いでいるといえるのではないでしょうか。
(月収が5万円以上〉
貯金の割合は1割~2割、5割が多く、消費の割合は5割~8割が多いことが分かります。つまり、月の収入が5万円以上の貯金と消費の割合は2:8もしくは5:5に近いと言えます、計画的に貯金をしている人が月収5万円未満の人よりも多いといえるのではないでしょうか。
◆貯金や消費の目的とは??
そもそも関西女子大生は何を目的に貯金をしているのでしょうか。
貯金の目的として多い順に、将来のため、趣味を楽しむため、目的は特にない、貯金はせず、あるだけ使う、使い道がないため、欲しいものがあるため、その他が挙げられます。特に将来のために貯金をしている人は40%以上を占めています。貯金の使用方法が明確か明確でないかに分類すると、69.3%と30.6%となることがわかりました。具体的な目的は無くても、なんとなく必要だと思っているのではないかと考えられます。将来のためのお金よりも「今」を楽しむことを大切にしており、そのことが2:8という貯金と消費の割合に表れているのではないでしょうか。
(将来のため・使い道がない・特に理由はない・貯金はせずあるだけ使う・余ると答えた人を明確な目的がない。趣味を楽しむため・欲しいものがあるため・学費・旅行と答えた人を明確な目的があるとしています。)
それでは、Z世代は何にどのような理由でお金を消費しているのでしょうか。
消費を何に充てているのか上位3つを回答していただきました。その中でも回答が多かった5つはこちらです。
〈月収が5万円未満〉
① 遊び・旅行 27人(22.5%)
② 食事 26人(21%)
③ 趣味 17人(14.1%)
④ 交際費 13人(10%)
⑤ ファッション 12人(10%)
〈月収が5万円以上〉
① 食事 55人(30%)
② 遊び・旅行 54人(22.5%)
③ 趣味 32人(13.3%)
④ ファッション 29人(12%)
⑤ 美容・コスメ 26人(10.8%)
収入によって大きな差はなく、遊び・旅行、食事、趣味にお金を費やしている人が多いことがわかりました。
◆なぜ“それ”にお金をかけるの??
お金を消費する理由は何についても質問してみました。
〇食事「人との付き合いで食事を伴うことが多い」「ストレス発散」
〇遊び「友人と遊ぶことがリフレッシュになるから」「学生のうちに色々な経験をしたい」
〇交際費「友達や先輩後輩といろいろな話ができ、仲が深まるから」
人との交流に対しての回答が多く、モノよりも経験など目に見えない価値を大切にしていると言えるのではないでしょうか。
〇美容「身だしなみを整えるため」「人前に出たときに恥ずかしくない自分でありたい」
〇ファッション「服が好きで流行りを取り入れたい」「大学生はたくさんの服が必要な」
〇通学費「対面授業が増え、大学に行くことが増えたから」
このように、大学や外出に関する身だしなみに対する出費もあることがわかります。関西女子大生は、人との交流や充実した学生生活といった、学生にしかできないことを重要視しているのです。
◆“推し活”事情について
Z世代の中では“推し活”がよく話題にあがります。“推し活”とは、好きなアイドルやキャラクターを「推し」と呼び、応援することを言います。
※詳しくは「関西Z世代女子マーケティングレポート(第2回)流行りと遊び編」をご覧ください。
このグラフのように、推し活をしている人としていない人は、それぞれ64.5%と35.5%となっており、推し活をしている人は6割以上を占めています。そして“推し活”にはさまざまな消費行動があります。ライブ・イベント・舞台の鑑賞やグッズ購入はもちろんのこと、推しをモチーフにしたヘアアレンジやネイルといった美容や、コンサートに参加するための服といったファッション、SNSでの拡散、創作活動といった“推し活”も存在します。
推し活について学年に注目して見ていきます。アンケート回答者の学年別の人数はこのようになっています。
推し活の内容として「ライブ・イベント・舞台」が多く、学年別の構成はこのようになっています。
ライブ・イベント・舞台といった実際に“推し”に会いに行くことに対して消費をしているのは、大学2回生と3回生が多いです。これは、大学生活に慣れ、アルバイトで稼げるようになり、使えるお金に余裕が生まれる時期だからではないでしょうか。また、推し活のためにアルバイトをするという学生もいると考えられます。
また、2.3回生ではグッズ購入をしている人はライブ・イベント・舞台よりも多いです。ライブに行けなくてもグッズは欲しいと考える人が多いのではないでしょうか。
次に、月収別で推し活事情を全体的にみていきます。
〈月収が5万円未満〉
推し活をしている人は57.5%でしていない人は42.5%です。また、力を入れている推し活がグッズ購入であることがわかります。
〈月収が5万円以上〉
推し活をしている人が61.7%、していない人が32.9%で、力を入れている推し活はライブ・イベント・舞台です。
月収で比べてみると、力を入れている推し活に違いがあることがわかりました。また、月収が5万円以上の人の方が推し活をしている人が多いことから、推し活がアルバイトの目的やモチベーションになっているのかもしれません。
2‐3.Z世代の決済方法とサブスクの実情!
◆決済方法について
近年、現金離れが取り上げられていますが、実際にはどのような決済方法が利用されているのでしょうか。
最も多いのは現金の53%であり、続いてモバイルウォレット35%、クレジットカード12%という結果になっています。確かにキャッシュレス化が進んではいますが、関西女子大生はまだまだ現金での支払いが多いといえます。
消費者庁「キャッシュレス決済の動向」によるとキャッシュレス率は32.5%であり、その中でもクレジットカードの利用が多いようです。このように日本人のキャッシュレスの傾向としてはクレジットカードが多いですが、関西女子大生ではモバイルウォレットが主流であるといえます。その理由として、財布よりも取り出しやすいスマートフォンを選んでいるからではないでしょうか。
モバイル決済が増加しており、スマートフォンさえあれば決済が可能であることが多いです。いつでも手軽にスマートフォンを取り出せるように、このようなスマートフォンを首から下げるストラップも販売されており、街中でも利用している人が多く見られます。
関西女子大生にとってスマートフォンは、かばんに入れるものではなく、手で持っていたり肩かたから下げていたりするものと考えている人は多いのです。そのため「かばんから財布を取り出し、さらに財布からクレジットカードを取り出す」というように手間のかかるクレジットカード決済よりも、常に身近にあるスマートフォンによる手軽な決済が関西女子大生に選ばれているのではないでしょうか。
(ゼミ生撮影)
◆サブスクについて
サブスクとは、サブスクリプションの略で定額サービスのことです。定額料金を支払えば一定期間、商品やサービスを何度でも利用することができます。
サブスクの利用は、動画や音楽に関するものが多いことが分かりました。また、サブスクを利用している人は9割を占め、何もしていない人はわずか1割という結果になりました。サブスクの注目度が上がっている理由として、インターネットの普及により、物の豊かさ(モノ消費)よりも体験価値の豊かさ(コト消費)重要視する人が増加していることが挙げられるのではないでしょうか。さらに、コロナ禍によるおうち時間の増加も関係があるとかんがえられます。サブスクを使用することによって、月の固定費は膨らみますが、QOLをあげることができます。
2‐4.投資について知りたい!
◆どれぐらいの人が投資をしているの??
投資をしている人は5.8%のわずか7人でした。投資の内容としては積立MISA、株、投資信託、暗号通貨です。投資をしている理由としては、人に勧められたから、将来のお金を増やしたいから、学びになるからというものでした。
投資をしていない人に注目すると、半数もの人が興味はあるがしていないと回答しています。興味はあるにも関わらず、実際には投資をしていない理由はこのようになっています。
何から始めれば良いのかが分からないという人が45.1%、投資について学んでから始めたい人が17.6%、貯金がないからという人が17.6%です。意外にも、リスクがあるためという人は多くはありません。また、投資はした方が良いと思ってはいますが、詳しいことはわからないため、きちんと勉強してから始めたいという堅実な学生が多い印象です。
興味がある人の中では、80%以上の人が将来的には投資をしてみたいという意欲があります。正しい知識や何から始めるべきかなど、相談できる機会や場所があれば、投資の理解を深めることができ、一歩踏み出せる人が増えるのではないでしょうか。
◆銀行に聞いてみた
私たちも、投資について詳しく知りたいと思い、フィールドワークを行いました。
〇そもそも、なぜ投資が注目されているの?
今回、投資について正しい情報を学ぶため、みなと銀行様にご協力いただきました。
近年、投資への注目が集まっており、さまざまな情報を目にします。なぜ、国全体で投資が推奨されているのでしょうか。
現在は社会的に金利が低く、銀行に預けているだけではあまり増えないからということが理由として挙げられます。昔は金利が高く、銀行にお金を預けるだけで金額が二倍に増えていたときもありましたが、今は金利が低く金額がなかなか増えにくい時代になっています。しかし、年金受給額の減少や物価上昇などからお金がますます必要になっています。この対策として、若いうちから資産運用に興味を持ち、投資について学ぶことが大事だとされています。
〇投資を始めるにあたっての基本と心構え
前提として、投資はコツコツするものという意識が必要です。「投資=1を10にする」というように大儲けをするものではありません。
また、投資は値動きによるリスクを伴います。このリスクを減らす方法をいくつか紹介します。
1.一括で買うのではなく、積み立てをする。
初心者にとって、相場を見極めることは難易度が高いです。そのため、一括で購入するのではなく積立投資をすることが勧められます。積立投資とは、値動きに関係なく定期的に購入することです。これによってリスクを均すことができます。
2.投資信託をする。
投資信託とは専門家に運用を任せるというものです。投資を始めたばかりだと、どのように運用をすればよいのか理解するのが難しいのではないでしょうか。そのようなときにプロに任せることによって、比較的安心して投資をすることができます。また、分散投資をしてくれるためリスクを減らすことができます。
3.長期で運用をする。
運用の期間が長ければ長いほどリスクは小さくなります。つまり投資を始めるのは早ければ早いほど良いということです。(値動きによっては一時的に損出が出る場合もあります。)
また、無理のない範囲で運用をしましょう。1、2年後に使う予定があるようなお金には手を付けず、余裕のある分だけを運用するのが良いです。まずは少額からでも学生の内から始めることによって、投資の感覚に慣れることや仕組みの理解につながります。(みなと銀行様では千円から投資を始めることができます。)
〇投資を始めてみよう
投資に興味はあるけど、何から始めたら良いのかがわからないという方は銀行に相談するという方法があります。基本的には、どの銀行でも対応しています。まずは電話で予約をしてみましょう。相談した結果、投資をすることが決まった場合は、その後も個人に合わせた対応やその時々の相場を教えてくれるといった丁寧なフォローを受けることができます。
銀行で相談しながら投資の感覚をつかみ、慣れてきたらSBI、PayPay、楽天証券など各自の判断で投資をするという方もいるようです。
〇まとめ
物価上昇や年金が問題になっている現代では、対策としてお金を運用することでお金を増やしていく必要があります。投資をする上では値動きによるリスクがありますが、積立投資を行うこと、投資信託でプロに任せること、投資先を分散させること、早くから始めることでこのリスクを小さくすることができます。また、投資は儲けることを目的とするのではなく、コツコツお金を増やしていくという意識が必要です。不安がある方は、まず銀行で相談をしてみましょう。
3.まとめ
さまざまな側面で関西女子大生のお金に対する意識を紹介しました。関西女子大生は、貯金よりも消費の割合が多いことや、月収に関わらず食事や旅行への消費が多いこと、映像や音楽のサブスクを利用していることから、モノよりも交流や体験といった経験に価値を感じ、お金を消費する傾向があることがわかりました。また、決済方法では約半分がキャッシュレスであったため、現金以外での決済方法の有無が顧客満足度の低下や顧客減少につながることもあると考えられます。
投資を実際にしている関西女子大生は僅かでしたか、投資に興味を持っている人は少なくありません。投資の知識を正しく得られるような機会があれば需要は高いのではないでしょうか。
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(連絡先)武庫川女子大学経営学部教授 高橋千枝子
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【武庫川女子大学】
兵庫県西宮市にある、2020年度時点で大学10学部17学科、短期大学部7学科、大学院8研究科14専攻、大学専攻科1専攻科を有し、大学・短大を合わせ約1万人の女子学生が学ぶ、日本最大の女子総合大学。多種多様な学びが特長で、高い専門性と幅広い教養を身に付けて、自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性をめざす。(武庫川女子大学HP)
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