武庫川女子大学 経営学部高橋ゼミ3年
幸山景衣、冨士久海子、南野瞳、山口胡桃
1.はじめに 私たちの紹介
はじめまして、こんにちは! 武庫川女子大学経営学部の高橋ゼミです。
私たちは高橋千枝子先生のご指導の下、3年生20人で活動しています。
第3回の記事では、コスメと美容について調査した結果を発信していきたいと思います。
初めに私たちが行った調査の概要についてです。関西のZ世代がコスメや美容にどのような意識を持ち、どんなモノを使っているのか、またそれにかける金額などを知るために、私たちは関西に住むZ世代を中心に135人にアンケート調査を行いました。
【調査方法】
WEB調査(定量調査)
・調査期間:2022年7月25日~2022年8月5日
・居住地:関西圏中心
・性別:男性、女性
・年齢:10代~20代
・対象:中学生・高校生・大学生・短大・専門学生・社会人
回答者数:135名
2-1.コスメ・スキンケアについて
◆コスメ~トレンドは海外へ~
オルチャンメイク
2010年ごろ「オルチャンメイク」が流行ったのを皆さんはご存知でしょうか。オルチャンとは韓国語で顔を意味する얼굴(オルグル)と最高を意味する짱(チャン)を組み合わせた造語で、美少女・美男子を表しています。オルチャンメイクのポイントは全部で4つです。1つ目は、上まぶたに引いたアイラインを下まぶたの目尻まで繋げて”三角ゾーン”を埋める、たれ目に見せるアイライン。2つ目は、アイブロウライナーなどで涙袋の影を作り、白いラメライナーで涙袋を強調するメイク。3つ目は、ブラウン系のパウダーアイブロウでふんわりと仕上げた平行太眉。4つ目は、コンシーラーなどで唇の色を消してから、赤いティントリップを中央にだけ塗るグラデーションリップです。2010年ごろと言うと、BIGBANGや少女時代、KARAなどをはじめとした韓国アイドルが日本での人気が急増した第2次韓流ブームです。このアイドルブームと共に、ETUDE HOUSEなどの韓国コスメブランドが日本に上陸。韓国が美容大国であるという認識も広がりました。現在、オルチャンメイクの流行は終わってしまいましたが、アンケート調査で使用している化粧品の項目で約62%が韓国コスメと回答したことから変わらず韓国コスメが人気であることが分かります。また、ステイホーム期間でのNetflixの普及から「愛の不時着」「梨泰院クラス」など第4次韓流ブームが生まれ、韓国コスメの認識もZ世代にとって当たり前のものとなりました。
チャイボーグメイク
オルチャンメイクの流行から約10年後の2020年ごろ「チャイボーグメイク」が流行しました。チャイボーグとは、チャイナとサイボーグを組み合わせた造語で、サイボーグのように完璧で人間離れした中華美人のことです。チャイボーグメイクのポイントは全部で5つです。1つ目は、マットタイプのファンデーションとパウダーで陶器のような肌にすること。2つ目は、ハイライトとシェーディングをはっきりと入れ、彫が深く立体的な顔にすること。3つ目は、ダークカラーで存在感のあるアーチ眉。4つ目は、赤いアイシャドウとブラックのはね上げライン。5つ目は、赤いマットのリップを輪郭を縁取るオーバーリップです。チャイボーグメイクは、可愛らしい雰囲気になる先ほどのオルチャンメイクとは反対の強くかっこいい女性の雰囲気になれるメイクです。またチャイボーグメイクと共に、中国コスメも流行しました。その中でも今回は、ZEESEA(ズーシー)と花西子(ファーシーツー)を紹介します。ZEESEAは日本人気No.1の中国コスメで、大英博物館や国立美術館、ピカソなどアートをテーマとしたデザインが特徴的です。また日本のコスメではなかなか見ない大胆で奇抜なカラーやラメがあることも魅力の1つです。花西子は中国の伝統的なデザインである国潮と深みのある色味が特徴的です。また肌に優しい天然由来のエッセンスを使用し、アジア人にあった配合になっています。2つのコスメブランドに共通して言えることは、コスメのパッケージにこだわっているということです。ケースだけでなく、リップやアイシャドウなどへの彫刻でブランドイメージを確立しています。中国コスメもまたZ世代女子は一度は手に取ったことのあるものだと思います。
(ゼミ生撮影)
スワイメイク
「スワイ」とはタイ語で可愛い・綺麗という意味で、タイメイクとも言われるスワイメイクは昨年から話題となっている最新の海外メイクです。またスワイメイクは、韓国のオルチャンメイク、中国のチャイボーグメイクに次ぐ3つ目のアジアメイクとして、第3メイクでもあります。スワイメイクのポイントは全部で4つです。1つ目は、フェイスパウダーでセミマット肌にすること。タイは高温多湿なので崩れない肌にすることが大切です。2つ目は、自眉を活かしたナチュラルで太目の眉毛。3つ目は、ブラウン系のマットアイシャドウとはめ上げラインで切れ長で意思の強そうな目元にすること。4つ目は、セミマットの高発色リップでぽってり肉厚にみせることです。タイコスメはタイドラマブームの後押しもあり、次々と日本に初上陸しています。また、タイはアジアとヨーロッパとアメリカの特徴が混ざり合った人が多く、欧米風のメイクをアジア人向けに改良されたのがスワイメイクです。そんなセクシーでキュートなタイメイクを中国美女が始めたことがきっかけで広まりました。
◆スキンケア
Z世代のほとんどがスキンケアとして、クレンジング・化粧水・洗顔を行っており、次いで多かったのが乳液・シートマスクでした。これらから基礎的なケアを行い、シートマスクなどで補完するといった方法がよくとられていることが分かります。また、Z世代ではつけまつげやまつ毛エクステで盛るのではなく、自分のまつ毛を活かしたまつ毛パーマが人気であるため、行っているケアとしてまつ毛美容液が上位にランクインしました。
◆コスメとスキンケアの比較
最も差が出たのはリピート率です。化粧水・乳液・美容液・クレンジング・洗顔とスキンケアは約7割が「同じ商品を繰り返し購入している」と回答しました。また、コスメの中でもファンデーションや下地などのベースメイクやマスカラ・アイラインは同じものを繰り返し購入している人が半数以上でした。その一方で、アイシャドウ・リップ・チークでは7割が「いろんな製品を沢山購入し、日によって変えている」と回答しました。直接肌に触れるものは自分にあったものを見つけ、それを繰り返し購入する傾向が強いです。
反対にアイシャドウやリップは色展開が豊富なだけでなく、マットやラメなど質感も様々なので、その日の気分や服装によって変えるために色々な商品を購入していることが分かりました。
◆Z世代のコスメ・スキンケアに対する価値観
どのような基準で化粧品やスキンケアを選ぶかという質問では、『価格』という声が一番多いものの『口コミ』『効果・効能』『品質』も大差はなく、同じくらい重要視されています。X世代、Y世代には重視されていた『ブランド』や『美容部員の説明』は、Z世代にとっては決め手にはなりません。そして、『口コミ』が重視されるという点でZ世代は、InstagramやYouTubeなど様々なSNSを活用し、新しい商品の情報を得ているようです。SNSを用いることでたくさんの人が発信している口コミを比較することができます。毎月コスメやスキンケアに使う金額としては、1,000円〜2,999円が最も多く、次いで3,000円〜5,999円でした。それほど大きな金額ではないですが、毎月新しいコスメやスキンケア商品を購入しているということがわかりました。
2-2.美容院編
実は人の第一印象の7~8割は「髪で決まる」という説があることをご存じですか?第一印象を決める要素として、約80%ほどが視覚的情報に関するものであるそうです。その中でも視界に入りやすいことから頭部、特にその中でも大部分を占めている髪が与える印象は想像以上に大きいと言われています。髪なんてメイクや服装の次でいいとどこかで思っていませんか?
新たなトレンドの鍵となるZ世代の美容事情について知るべく、ここからは髪に関する意識調査の結果を分析していきたいと思います。
◆大手検索サイトの影響??
調査の結果から、決まった美容院を利用し続ける人は55.6%と半数以上でしたが、一方で別の美容院にも通うと答えた人も約40%ほどいました。これはHOT PEPPERなどの大手検索・予約サイトの利用率が上がったことで比較検討が容易となり、多くの美容院に足を運ぶ機会が増えたからではないかと考えます。またその際、美容院を選ぶ基準として最も重要視されているのは『サービスの質』であり、次に『価格』『人柄』『口コミ』と続きました。これらの要素が選ぶ基準として90%を占めています。Z世代は大手検索サイトやHP、SNSなどのコンテンツを主な情報源とし、それらに掲載されている詳細情報や『口コミ』を重要視して選択する傾向にあるようです。
美容院一回当たりに必要な金額として、最も多かった意見が6,000円~9,000円未満で、2位が3,000円~6,000円未満、3位が9,000円~12,000円未満という結果になりました。
国内最大級のサロン予約サイトである「HOT PEPPER Beauty」ではクーポンを使用することもでき、適用時にはおおよそ10,000円以内で カット+カラー+トリートメントの施術が受けられるメニューも用意されています。
頻繁に足を運ぶ場所ではないからこそ、一度の施術にかける金額が高く、少しでも効能が長持ちして欲しいという思いが働くのではないでしょうか。
◆Z世代の髪型・髪色
人気の髪型としては、1位 ロング、2位 ボブ、3位 ショート の結果となり、やはり不動の人気のものが順位を占める形となりました。近年流行りのパーマ、ウルフは5位(同率)、ベリーショートは6位にランクインするなど、トレンド性を意識した髪型に挑戦する人も多数いることが見受けられます。
また、髪色は暗めカラーや茶髪は約80%の人が経験ありと回答したことに対し、金髪は28.9%と比較すると少ないことが分かります。全頭ブリーチをすることでダメージやヘアケアへの手間が一層かかることが実情として挙げられ、それらに対する抵抗感が関係していると考えました。一方でアッシュ系、インナー・イヤリングカラー、イルミナカラーは40%程度の人が経験があると答え、気軽に挑戦しやすく人気の髪色となってきていることが推測されます。
↑近年定番のインナー・イヤリングカラー(ゼミ生撮影)
外側の髪色は変えず、内側の髪色だけを変えるカラー。入れる場所によっては隠すことができるため、オフィスや学校で髪色の規則がある人も取り入れやすい!
↑最近“きてる”アッシュ系、イルミナカラー(ゼミ生撮影)
アッシュカラー:「くすみがかった灰色」。透明感のある色合いを引き出すカラーとして知られ、日本人特有のオレンジ・黄味っぽさを打ち消すとされている。
イルミナカラー:従来のヘアカラー剤では叶えられなかった透明感」「艶」「柔らかさ」を得られ、ブリーチなしで透け感を手に入れられるのが特徴。
ヘアケア編
◆ヘアケアはおうちでできる手軽さ・コスパが鍵??
ヘアケアをどのようにして行うのかを調査した結果、美容院+セルフの両方でケアを行う人が58.5%と半数以上となりました。セルフのみと答えた人は32.6%であり、それに対し美容院のみだと答えた人は8.9%と極端に少ない結果です。毎回美容院でカットやカラーに加え、ヘアケアを行うと値段が高くなるため、普段はセルフでできる限りのケアを行い、時々行く美容院で必要最低限なメンテナンスを行っているのではないかと考えました。
よく行われているヘアケアとしては1位がトリートメントで、94.1%というほとんどの人が行っているという回答結果となりました。その後は、オイル、ヘアミルク、ケアブラシと順番が続きます。ヘアマスクやヘアスクラブを使用する人もいる一方、前述した上位4つのような容易に購入でき、継続しやすいヘアケア用品が重宝されていることが考えられます。
毎月のヘアケアにかける金額について調査を実施したところ、全体の約45%の人が1,000円~3,000円未満の金額をかけているとし、これが一番多い回答となりました。1,000円未満と答えた人は29.6%であり、6,000円未満の人は22.2%と、ここまでの上位3つの金額に90%以上の人が当てはまる結果となり、支出の中では決して高すぎる金額ではないことが見受けられます。これにはヘアケア用品の減りが早いものではないことや一度購入したものを使い続ける傾向にあるため、他の商品に乗り換えるなどのコストが省けることが要因として挙げられると考えました。
◆ヘアケア編トレンド速報
~就寝前にかぶるだけというこの手軽さや一風変わったシルエットに惹かれる人続出!?~
ナイトキャップ
就寝中にかぶる帽子で、頭回りにフィットしたつばのない帽子。
近年YouTuberなどを通し、話題を呼んだヘアケアアイテムです。
左①、右②(いずれもゼミ生友人撮影)
【Z世代の実際に使ってみた感想】
①シルクの帽子タイプ
➔保湿力が一番高い!しかし、就寝中に取れてしまったり、翌朝寝癖がついてしまうこともしばしば…
②シルクの長い髪用筒型タイプ
➔シルク100%だけど、①と比較すると若干感触が異なり、保湿力では劣っている。
【ナイトキャップよる主な3つの効果】
・寝返りなどによる擦れ・摩擦など、髪への刺激やダメージから守ってくれる
・ナイトキャップの中に髪を入れ込むと寝癖を防げる
・適度な湿度を保つことで、髪の潤いが逃げにくくトリートメント効果を高める
大きくシルクタイプとコットンタイプに分けることができ…
・摩擦ダメージをより軽減したい人 ➔シルクタイプ
・値段が安く、手入れが簡単で気軽さを求める人 ➔コットンタイプ
シルクの枕カバー
最近ではナイトキャップに代わってシルクの枕カバーも登場。①のナイトキャップの保湿力には劣るが、就寝前の手間を省け、且つケアもしっかりとできる手軽さに注目が集まる!!
(ゼミ生友人撮影)
2-3. 脱毛
◆脱毛の歴史
最近よく耳にする脱毛。テレビCMやYouTubeの広告だけでなく、友達同士の会話でも度々登場する話題となっています。その度に、「昔の人は毛なんて気にしてなかったんでしょ…」なんて会話をよくします。私自身、1910年代を舞台にした映画を観た際、主人公が女性の裸婦画を描く描写があり、その女性に脇毛が生えていたことに衝撃を受けた記憶があります。
しかし、そんなイメージとは裏腹に、脱毛には意外にも長い歴史があり、世界三大美女の1人であるクレオパトラも脱毛をしていたという説もあるそうです。日本でも、1960年代にワンピースやミニスカートなどが大流行したことをきっかけに、脱毛への意識が高まり、1970年代には電気脱毛器がアメリカで開発され、日本のエステでも施術が行われるようになりました。その後も、脱毛への意識の高まりとともに、技術も進歩し、1980年代からレーザーによる永久脱毛や、無資格でも施術が可能である光脱毛などさまざまな施術が登場しました。このような技術の進歩により、コスト削減や痛みの軽減などにより、脱毛の存在がより身近になった反面、やはり「種類が多すぎてどれを選べばいいのかわからない」、「どれが自分に合っているのかわからない」という悩みも生まれるのではないかと思います。そこで、どのくらいの女子大生が脱毛をやっているのか、実際に始めたどのくらいの人がその効果を感じているのか、定性調査と定量調査をもとに考察したいと思います。
脱毛をしているかという質問に対して、している、したことがあると回答したのは、42%。ないと回答したのは、58%と学生や新社会人などの若年層が多くの割合を占めるZ世代では、半数以上の人がまだ脱毛経験がないという結果になりました。しかし、費用が、25万から30万が35%と最も多く、脱毛は決して安くない買い物であることを踏まえると、約半数の人が脱毛をしているというのは、高い割合ととらえることが出来るのではないかと思います。また、脱毛経験者の中には、全身脱毛よりも低い費用で始めることのできる部分脱毛の利用者も多く、自分の気になる部分だけを部分脱毛できるという気軽さが、経験者の割合を押し上げた一因となっていると考えられます。
そんな高額な費用のかかる脱毛ですが、高い費用を払ってまでなぜ始めるのかを聞いてみました。すると、「自分が気になるから」や、「自己処理が大変」という回答が多く、あくまで自己投資として始めている人が多いことが分かりました。
次に、脱毛にもさまざまな種類がありますが、よく耳にする、医療脱毛や美容脱毛、家庭用の脱毛器を購入しセルフで行うものの3つに絞りアンケートを行ったところ、医療:52%、美容:49%、セルフ:14%という結果となり、医療脱毛に通う人が最も多いという結果となりました。また、セルフケアだけの人もいますが、医療脱毛や美容脱毛と並行、もしくは施術が完了した後、セルフケアを続けている人がいるということがわかりました。
最後に選択基準についてですが、圧倒的な割合で「価格」が1位、効果と通いやすさが2位、効果が3位と続く結果となりました。このことからもZ世代が価格重視の傾向があることが分かります。
◆メリットとデメリット
アンケート調査による定量調査の結果を含め、医療脱毛と美容脱毛を行なっている人が多いことがわかりました。そこで、医療脱毛・美容脱毛を行なっている友人数名に協力していただき、改めてインタビューを行い、そこからそれぞれのメリットとデメリットをまとめたいと思います。
まず、医療脱毛のメリットとしては、即効性が高いことと美容脱毛に比べて少ない回数で脱毛効果を感じることができるという点です。インタビューの回答の中にも、家庭用の機械ではなかなか効果を感じなかったため、医療脱毛に通い始め、効果を感じ満足したと答えてくれた人もいました。そして医療脱毛のデメリットとしては、部位によって痛みが強いことと、なんといっても費用が高額になることです。多くのサロンで、全身・VIOのプランには、25万程度の費用がかかるため、気軽に始めることができないことがデメリットであると考えられます。
次に、美容脱毛のメリットとして挙げられるのは、医療脱毛に比べて費用が安いことと、痛みが少ないことであると考えられます。医療脱毛の6、7回分の値段で、回数無制限で通えるプランが用意されているサロンもあり、満足するまで行えるというのは、医療脱毛に比べてとてもお得な印象を受けました。そして、美容脱毛のデメリットとしては、やはり、効果を感じるまでに時間がかかることと、施術後、時間が経過すると元通り毛が生えてくることという意見が多く寄せられました。やはり、医療脱毛に比べて威力が弱く痛みが少ない分、効果は医療脱毛に比べて実感しにくいと予想されます。
◆結論
Z世代の約半数が行っている脱毛は、「費用が高かった」や「痛い」などのデメリットはあるものの、医療、美容にかかわらず、「自己処理が楽になり、肌への負担が減った」や、「肌がきれいになった」、「毛穴が目立たなくなった」などの多くの前向きな意見があり、総合的にみれば、やってよかったと感じている人が多いことが分かりました。そのため、もっときれいになりたい!垢ぬけたい!と思っていても、「何から始めればいいのかわからない」と思っている人にとっては、うってつけのものではないかと考えます。
2-4 整形編
◆整形は悪いものではなく、当たり前の時代
Z世代の中で、整形は当たり前の時代になってきています。その背景として、「プチ整形」という、「身体にメスを入れない」整形が台頭したことで、気軽に整形できるようになったことが考えられます。更に、Z世代の女子は、整形したことを隠すのではなく、SNSなどに投稿し公表する人も多く、特にYouTubeやInstagramで整形後との比較写真や、体験した感想などのレポート、ダウンタイムの様子などをアップしているのをよく見かけます。SNSを用いて整形の様々な情報を仕入れることができるこの時代だからこそ、整形は当たり前になったと考えられます。日本にも、整形ができる施設や設備が沢山あり、日本中どこにいても整形ができるという環境になっており、競争も激しい市場であると考えます。
◆二重が絶対条件の世の中
調査したZ世代の12.6%が整形経験があると回答し、圧倒的に二重の埋没整形の経験がある人が多く、整形経験のある人のうち、82.4%の人が二重の埋没経験があると回答しました。二重整形がどうしてこんなに人気なのでしょうか。二重は、目が大きくて印象に残りやすくら、メイクが映え、華やかな印象があるなどの特徴があり、Z世代女子に人気になっています。二重整形をしていない人でも、アイプチなどを用いて二重にしている人が多く、殆どのZ世代がアイプチを使ったことがあるのではないかと考えます。Instagramのアンケート機能で行った調査では、アイプチを使ったことがある人の割合は7割を超えていました。このように、Z世代女子は二重であることが暗黙の絶対条件とされているように感じます。雑誌やテレビを見ても、二重のモデルがほとんどであり、YouTubeのメイク動画を見ても、二重が前提としたメイクを紹介していることが多い印象です。Z世代女子にとって二重は重要であるといえるのではないでしょうか。
◆多種多様化したプチ整形
美容整形の技術も進化しており、最近では様々な種類のプチ整形が台頭しています。
整形の種類
*二重整形【埋没式】
二重整形の埋没法は、皮膚の内側に特殊な糸を通し、挙筋や瞼板へ2〜3ヶ所(2点法、3点法)固定することで、二重のラインを作る治療です。生まれながらの二重では、眼瞼挙筋の先に伸びる挙筋腱膜がまぶたの裏に付着していて、この筋膜の力でまぶたを引き上げて目を開きます。埋没法では、この目が開く仕組みを、糸を用いて人工的に作るという手法です。所要時間は、15分から30分程度で、ダウンタイムは3日から1週間程度という手軽な整形で、もし思っていたものと違っても、元の状態に戻せるというメリットがあります。
*ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、体の中にもともと存在するヒアルロン酸と同じ成分の製薬を使用する整形(治療)で、保水力を高め、肌のハリや弾力を保つのに役立ちます。わずか数分の処置で、金銭的負担も少ないため、メイク感覚で整形できるという特徴があります。
【施術場所:シワ・鼻・顎・唇・目元・フェイスライン・豊胸・涙袋】
*ボトックス注射
ボトックス注射とは、ポツリヌストキシンと呼ばれる毒素から毒性を抜いた菌を注射器で注入すること手法です。ポツリヌストキシンは、筋肉を収縮させないようにする抑制する作用があり、ボツリヌス菌より生産されたタンパク質が「アセチルコリン」という神経伝達物質の働きがブロックされ、さまざまな効果が期待できます。個人差がありますが、継続期間が4ヶ月程度のため、長期的に施術したり、結婚式などのイベント前に利用する人も多いそうです。
【効果:小顔効果・シワ改善・多汗症改善・部分痩せなど】
最新のプチ整形
最近は、鼻のプチ整形(切らない鼻尖形成・切らない鼻中隔延長)やメディカル髪育注射など、数分で手軽に『メイク感覚』でできる整形が多数台頭しています。
◆Z世代が整形に使うお金は人それぞれ
調査で、美容整形に使用した費用の総額を聞いてみると、意見が分かれました。1番多かったのは5万円から10万円で35.3%でした。2番目は20万円以上でした。分析したところ、一箇所あたりの金額もかなりばらつきがあり、どんな方法でどこで整形するかによってかかる費用は変わっているということがわかりました。
◆整形は隠すものではなく、公表する世代
整形が日本で普及した頃から最近まで、整形したことは極力隠すことが一般的とされていました。理由としては、現在は美容外科は医療として認められていましたが、日本に美容整形が伝わった頃は、病気などの治療ではないため、医療として認められていなかったので、マイナスなイメージが強くついてしまいました。そのため、現代でも整形に対して偏見を持つ日本人は多いと考えています。しかし、Z世代の女子達は整形に寛容であまり偏見を持っていないのです。最近では、整形した様子や整形後のダウンタイムの様子をSNSにアップする整形YouTuberや、整形インスタグラマーをよく見かけます。整形という未知なものを気軽に知ることができるため、整形に興味があったり、する予定がある人に重宝されています。
YouTubeで「整形」と検索すると、整形に関する様々な動画がアップロードされています。例えば、ヘラヘラ三銃士の「【鼻整形】まりなの再々手術が過酷すぎました」という動画や、整形アイドル轟ちゃんの「【整形】流行ってるけど過酷すぎた…ダウンタイム1ヶ月全て見せます。【切開リフト・眉下切開】」という動画など、沢山の動画が出てきます。これらの動画では、整形のカウンセリングから、施術、術後、ダウンタイムの様子、完成した顔までの全てを公開しています。インスタグラムでは、整形前と整形後の比較画像や整形後の自撮り写真などが沢山アップロードされています。インターネットが当たり前になり、SNSを頻繁に活用するZ世代は、整形の情報も手軽に手に入れることができ、整形をしたZ世代は他のZ世代に対して自分の整形したレポートをSNSにて発信するという、Z世代特有の新たな文化ができています。
◆整形をしたZ世代
調査したZ世代の中に整形を経験した人が17名とかなり少ない人数だったため、定量的に判断できないのでZ世代のYouTuberの整形に関する動画を視聴したり、身近にいるZ世代の整形経験者から整形について教えていただきました。整形をすることによって自己肯定感が上がり、自分に自信がついたり、人前に出られるようになったりするというメリットや、化粧の手間が省けるというメリットがあるようです。整形の痛さや、費用などは行う施術によって変化するため、自分にあった整形方法を選ぶことが必要があるようです。
上から整形前、1度目の埋没後、2回目の埋没後 (ゼミ生友人撮影)
3.まとめ
Z世代の美容に関する興味、関心は高く、また、InstagramやYouTubeなどのSNSが発達し情報を収集しやすいことから知識も豊富であることが分かりました。Z世代はどの分野に関しても、選ぶ基準として価格を重視しており、Z世代に向けた商品・サービスを売るためには価格が低いことは前提であり、それ以外の部分でどう付加価値をつけ、差別化を図れるのかが重要であると考えられます。
従来、美容業界では「美白」などの色や性別に対する固定概念があり、決めつけた表現が当たり前となっていましたが、近年では一人ひとりの個性を活かした”とらわれない美容”といった流れが浸透しつつあります。今回の調査結果が、それぞれの”好き”を活かした美容・コスメの参考となれば幸いです。
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【SNS】
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【担当教員連絡先】
Z世代女子によるZ世代女子のマーケティングレポートです。Z世代女子視点のリサーチや商品開発、モニター調査等にも協力しています。ぜひご相談ください。
(連絡先)武庫川女子大学経営学部教授 高橋千枝子
chietaka★mukogawa-u.ac.jp(★を@に変更してお送りください)
【武庫川女子大学】
兵庫県西宮市にある、2020年度時点で大学10学部17学科、短期大学部7学科、大学院8研究科14専攻、大学専攻科1専攻科を有し、大学・短大を合わせ約1万人の女子学生が学ぶ、日本最大の女子総合大学。多種多様な学びが特長で、高い専門性と幅広い教養を身に付けて、自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性をめざす。
(武庫川女子大学HP:https://www.mukogawa-u.ac.jp/index.html )
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