• 2020/11/09

    ゼミ・プロジェクト

第1回シェアード・トークレポート(ゲスト:舞書家Chad.さん)《オンリーワンで飛び出せ世界~教室の隅っこから世界へ~》

10月8日(木)にオンラインとオフラインのハイブリッド型イベントの『シェアード・トーク~出会いとヒントの宝箱~』を開催しました。経営学部有志のシェアード・スタジオ・スタッフ(通称シェア・スタ☆)が企画段階から当日の司会進行までを手がけました。

このイベントの目的は「実社会において自分のやりたいことで活躍している社会人にお話を伺って自分の将来を考えるきっかけを提供する」ことです。今回は舞書家のChad.さんにお話を伺いました。

『舞書家』とは“舞いながら書く”という独自のスタイルからChad.さん自身がつけた肩書です。舞書パフォーマンスの他に、色紙の書き贈りやマタニティーアート、名刺のデザインや講演会、ワークショップなど様々なお仕事をされています。また、TVの出演や2019年には世界最大の日本展『JAPAN EXPO PARIS』に出演され、日本の伝統文化を世界にも発信されています。こんなにすごい活動をされているChad.さんですが、実は壮絶な人生を歩んで来られた方でした。

Chad.さんは出生と同時に母親を失ってしまったという過去があります。中学時代は人との距離感が掴めずいわゆる『陰キャ』だったので笑うことも、友達と話すこともなかったそうです。クラスメイトからは「話しかけにくいよね」と言われ、その頃から「いつでもどこでも私らしく笑える『私』でありたい」と思い、自分で明るい子を研究したそうです。表情筋を鍛えたり自分から話しかけてみたりして、見事高校ではなりたい自分になることができました。

華やかな高校生活を過ごしたChad.さんでしたが大学受験で失敗。本命ではない大学に入学しますが翌年再受験に合格するも大学を移る決心が付かずそのまま2つの大学に通う生活を続けてしまいます。「私はどこに行きたいのか、どう生きたいのか…」と精神的に病んでしまい、そんな自分が嫌で死にたいとまで思うように。

ある日父親に「こんな私なんて生まれなければよかった。自分のせいで母親も生きられなかったし、本当にごめん」と伝えました。父親はじっと話を聞いて、たった一言「で?」と聞き返してきました。その沈黙と問いに、自分は言ってはいけないことを言ったということ、そして命を繋いでくれた母親のためにも生きなければと、考え直すことができたそうです。

それからのChad.さんは、ヒッチハイクしたり、海外ボランティアや知らない国、土地に一人で行って友達を作ったり、ホームレスになってみたり…驚くようなことを次々体験します。

「非日常を体験することで、日常のありがたみをすごく感じられるんですよね。屋根があることとか、人の温かさとか。『フツウ』を少しはみ出した世界の中でだんだん“家族”のような存在が出来て。ズレていても生き生きしている人達と出会えたことが自分を救ってくれました」と振り返られました。

私は自分探しをするためにここまでするのか…と思いました。ですが様々な体験や多様な人と出会うことで「自分がしたいことが何か」という問いに少しずつ近づいていけるのかもしれないなと思いました。

ある時、Chad.さんは1人の路上詩人から言葉を贈られます。「自信がなくてもいいよ。やってごらん、動いてごらん。あなたの力になってくれる人は、あなたが生きている限り途切れない」この言葉に力をもらい、また自分も路上に座って言葉を贈る詩人をしてみたくなりました。その時に初めてお客さんにもらったお金が、時間で定められた対価ではなく、「自分の価値を認めてくれた証」であると感じたそうです。そこからアーティストとしての活動が始まっていきました。

その後Chad.さんは、政治に興味がない若者の意識を変えるためにアートと組み合わせ、即興で巨大な書を書くパフォーマンスを始めます。さらにミュージシャンとコラボして音楽に合わせ書を書く中で、今の肩書きとなる“舞書“が生み出され、全国ツアーや海外での活動にもつながっていきます。

現在は、舞書を通して日本の伝統文化や日本の平和の大切さを国内外に発信したり、舞書以外にも地元である広島県竹原にて古民家を再生しゲストハウスを作るプロジェクトも立ち上げ、地域活性事業に取り組んでおられます。

講座が終わった後、「変わりたいときの一歩は急に出そうと思って出るものなのですか?」という質問が出ました。Chad.さんは「無理してやっていることからの違和感や本当はやりたいことなどが蓄積されて自然に出る。そのためには一度しかない自分の人生を大切にしようと行動することが重要」と答えられました。自分はこの世に一人しかいない。生まれ持った貴重な個性を活かせる自分になりたいと思えた時、一歩は出るのかもしれないなと思いました。

 

講義を聞き終えて、Chad.さんの書がこんなに心に響くのは出生と同時に母を亡くしたことや悩み抜いて病んでしまったこと、ヒッチハイクなどを通して感じた人の温かさや自分の価値に気づけたこと、たくさん心で感じ考え、その蓄積が作品に宿っているからだと思いました。

奇跡的にこの世界に生まれてきた自分を大切にして、世間体や常識だけに縛られず自分らしさを持って、私も生きていきたいと思いました。

記事:シェアスタ 玉垣緋莉

グラフィックレコーディング:福井ひかり(グラレコを元にChad.さんが動画を作成したものはこちら

 

※本学経営学部の学生は本編の録画を視聴できます。希望する方はシェアスタのクラスルームからアクセスして下さい。

ARCHIVE

入試情報

資料請求