武庫川女子大学の共学化発表から時間が経ち、学生たちの心には不安や戸惑い、そして新しい挑戦への期待が交錯しています。
今回、NHKの取材を受けることになり「学生として共学化をどう受け止めているのか」という問いかけを通して、発表当初から現在に至るまでの意識の変化や大学の対応への思いなど、幅広いテーマについて尋ねられました。
取材に答える中で、自分の考えを改めて言葉にし、これからの大学生活をどう歩んでいくかを見つめ直すきっかけにもなりました。
もちろん、共学化に対しては賛成の声もあれば、反対の声もあります。ここで紹介するのは、あくまで一人ひとりの学生の個人的な考えです。多様な意見が存在することを忘れずに、互いの思いを尊重しながら歩んでいくことが大切だと感じています。
以下では、実際に取材を受けた私たちが、取材を通じて得た気づきや、それぞれの立場から感じた思いや考えを語ります。
● 女子大の価値から、共学で広がる可能性へ
取材を受けて、改めて他の女子大学の動きや社会の変化に目を向けると、「今がまさに時代の転換点なのだ」と強く感じるようになりました。
これまで私は、女子大であることに大きな価値を見出してきたため、共学化にはどうしても受け入れがたい思いがありました。けれども、取材を通して自分の考えを言葉にしていく中で、少しずつ気持ちが整理され、心の中に納得できる部分が生まれてきました。
女性が社会で力を発揮していくためには、まず大学という場で、そのための力をしっかりと育むことが大切だと思います。共学化によって、女性だけの学びの場は姿を変えるかもしれません。しかし、それで女性の強みやリーダーシップを伸ばす機会がすべて失われるわけではないはずです。むしろ、新しい挑戦の場が広がり、これまで以上に可能性が広がるかもしれません。
これまで積み重ねてきたリーダーシップを土台にしながら、私はこれからも前を向いて、仲間とともに新しい挑戦に踏み出していきたいと強く感じています。
(2年 浅川夏帆)
● 女子だけの安心感から、多様性を受け入れる力へ
高校から女子校で学んできた私にとって、「女子だけの環境」は当たり前の日常でした。そこには、安心して自分を表現できる空気があり、新しいことに挑戦する勇気を後押ししてくれる仲間がいました。その環境があったからこそ、私は大きく成長できたのだと心から感じています。
今回の取材を通して、共学化は単なる制度の変化ではないと改めて気づきました。それは、多様な価値観や立場を理解し、受け入れる力を育むための大切なきっかけになるのだと思います。
これから先、性別や背景の異なる人と関わり、多様な人たちと協力しながら取り組む場面はますます増えていくはずです。そのときにこそ、自分の意見をしっかり持ちながら、相手の考えを尊重できる姿勢が必要だと今強く感じています。
(2年 高家果歩)
● 戸惑いから前向きな挑戦へ――二つの環境で学ぶ強み
女子大学に入学してすぐに共学化の発表を聞くことになり、正直なところ私は受け止めきれませんでした。受験の段階では共学の大学も選択肢にありましたが、「周囲の目を気にせず、自分のやりたいことに挑戦できる環境」があると感じて武庫川女子大学を選んだ私にとって、その環境が変わってしまうことへの不安はとても大きかったです。
しかし、取材を通して、自分が共学化のマイナス面ばかりに目を向けていたことに気づきました。社会に出れば、多様な人々と関わることは避けられません。むしろ共学化は、自分をさらに成長させてくれる良い機会なのだと、次第に前向きに受け止められるようになりました。
大学の4年間を「女子大学」と「共学化した大学」という二つの環境で過ごせることは、決して誰もが経験できるものではありません。その貴重さを力に変え、前を向いて自分のやりたいことに挑戦し、実現に向けて努力していきたいと今は強く思っています。
(1年 野口夏希)