S.F
皆さんは留学という言葉を聞き、何を想像しますか?出発前、私はこの言葉について何度も考えました。留学に行き何を得ることができるかという漠然とした不安や、授業についていくことができるのかという心配、一方で外国で生活できることへの楽しみなど、多くの不安と期待で胸がいっぱいだったことを思い出します。そんな留学で実際に得たことについて、特に心に残った二つを記します。
一つ目は他の言語を使い、外国人と会話することの楽しさを知ることができたことについてです。日本にいるときは周りに日本人しかいなかったため、他の国に住んでいる人と話す機会はめったにありませんでした。また私は英語に苦手意識をもっており、伝わらなかったらどうしよう、間違っていたらどうしようと漠然とした不安や恥じらいがあり、外国人と英語で会話することを避けていました。しかしこの留学で日常的に英語を使い、先生や友人、寮で共に暮らすRAなど様々な人と沢山会話をすることで、次第に慣れていきました。しかしその中でもうまく表現することができず、会話がかみ合わないことが何度もありました。何度も失敗し、恥ずかしく思う場面は沢山ありましたが、繰り返し英語を使い続けることで、着実に英語を話す力を上げることができました。また日頃から積極的に英語を使うことで、間違えることへの恐怖心が薄れ、それが自信へと繋がりました。これらは会話だけでなく読む力、書く力に対しても同様のことが言えます。またこの生活で得た英語力を利用して、当初は言い表すことのできなかったことをアメリカ人に伝えることができ、会話が弾んだときはとても嬉しかったです。今でも鮮明に覚えているほど、忘れられない思い出となりました。
二つ目はホストマザーから得られた多くのことについてです。私は合計1週間ほど、ホームステイ先の家族と共に生活しました。私がお世話になった家庭は料理好きの女性が一人で暮らしていました。毎日彼女と共に料理を作ったり、買い物に行ったりととても充実した日々を過ごしました。私はその中で目に見えるような生活習慣だけでなく、料理や言葉の表現方法など、実際にアメリカ人と共に暮らすことでしか分からない、より深い文化の違いを沢山学ぶことができました。例えばサンクスギビングについてです。ターキーやパンプキンパイなど、ホストマザーと沢山の料理を一緒に作りました。家族や親戚が集まり、共に食事をすることは日本のお正月に似ていると感じました。
また彼女は常に私に対して、何をどうしたいか、今どう思っているかを尋ねました。以前から私は意見を主張することが苦手であり、他人がどう思っているかを深く考えてしまうため、自分の考えを言うことに抵抗がありました。しかし彼女は私が答えを出すまで待っていてくれたり、必ず全員の意見を取り入れてくれたりと、意見を主張することが苦手な私に寄り添ってくれたおかげで、自然と自分の考えを言うことが苦痛ではなくなっていきました。今までは空気を読むことや周りに合わせることは当たり前であり、多少のことは我慢するべきだと思っていましたが、日本人とは異なる文化や風習をもつアメリカ人の彼女と数日間、同じ食卓を囲んだことによって自分の意見を言うことは悪いことではなく、大切であるということに気づかされました。
これら以外にも約4カ月、想像以上に沢山のことを学び、素晴らしい経験を積むことができました。この留学に参加させてくれた両親や約四カ月間共に過ごした友達、先生やRA、周りの環境に感謝の気持ちでいっぱいです。アメリカで生活したからこそ得られたこれらのようなことをしっかりと心に留め、今後に生かしていきたいと思います。