すでに経営学部一期生のゼミが始まっています。学生も教員も武庫川女子大学経営学部でのゼミ初年度ということで、前例がないものに挑戦する気持ちで取り組んでいます。
今回は、神栄ゼミ『イノベーション・マネジメント研究室』の紹介として、コンセプトや実際のコラボ先や取り組み内容、ゼミを通じて学んでほしいことなどをご紹介できればと思います。
コンセプトは『Let”s Creative Beautiful & Better Life!』
私自身、外資系企業で消費材や化粧品の実務に携わってきた経験があり、ゼミのコンセプトは『Let”s Creative Beautiful & Better Life!』としています。これは見た目だけではなく、生き方や暮らし方の美しさ、そしてワクワクするコトやモノを研究するゼミであることを意味しています。「ビューティー」「コスメ」「新製品開発」「イノベーション」「韓国」「トレンド」「SDGs」「社会貢献」などがゼミのキーワードです。
また、ただ真面目に学び、経験するだけではなくて、ワクワクする体験や創造ができるゼミをめざします。キーワードにもあるように、決して化粧品関連だけではなく、新しいものやより良いものを生み出すために必要な考え方や取り組み方を学ぶ場にしたい。私は、いろいろな人が多様な価値観をぶつけ合う中からイノベーションは生まれてくるものだと考えています。その実践の場として、「学内コラボ」や「産学コラボ」といったコラボレーションを軸にゼミを進めます。
全国的にも珍しい学内コラボ
「学内コラボ」は、他大学ではまず経験することがない非常に珍しい取り組みです。
武庫川女子大学には薬学部があり、薬剤師をめざすコースと企業の研究所などをめざす健康生命薬学科というコースがあります。この健康生命薬学科で化粧品の研究に取り組む学生がおり、研究の一環として化粧品を開発しています。薬学部の彼女たちが開発した化粧品のマーケティングを経営学部のゼミ生が担当する、そんな大学内コラボレーションです。
企業に就職してマーケティングの業務に携わると、必ず研究開発部の人たちと協働することになります。社会人になる前にその第一歩を体験してもらう取り組みです。
国内大手企業と産学コラボを実施
「産学コラボ」は、国内最大手メーカーに製品を供給している大手OEM/ODM企業との産学連携プロジェクトです。具体的な活動内容としては、スキンケアやメイクアップなどの試作品に対するフィードバックといった商品に直結するものをはじめ、実際に企業が販売する商品の開発プロセスに加わるなど、自らのアイデアが市場に出る商品に反映されるという希有な経験ができるかもしれません。
特に、化粧品の試作品を学生たちのフィードバックによりブラッシュアップしていくプロセスを体験できるのは、非常に貴重な経験になるでしょう。もちろん工場見学や企業訪問などを通して、社会人の自覚や意識をいち早く身につけてもらうことも予定しています。
域学コラボでは地方自治体のSDGsをサポート
「域学連携コラボ」は、新たな地元産品の開発や地域活性化をめざし、自治体と大学が連携して取り組むコラボプロジェクトです。現在は洲本市と武庫川女子大学が域学連携を締結しているご縁もあり、洲本市が推進する「菜の花エコプロジェクト」でコラボしています。これは、洲本市で栽培された菜の花の種から生産された食用油(菜種油)を天ぷらなどで利用し、使用後の廃食用油を回収して軽油代替燃料のバイオディーゼルにリサイクルするというSDGsな資源循環型の取り組みです。
今回は菜種油を使った商品開発やマーケティング、広報支援などに関わっています。開発した商品の認知をどう広げて商品購入につなげていくか議論を重ねたり、実際に菜の花畑の収穫を手伝ったりしながら、SDGsとリアルな活動をリンクさせつつ取り組んでいます。
また、近畿大学の学生起業家が経営する株式会社ラントレとのコラボにも取り組んでいます。彼らが立ち上げたECショップのネットマーケティングをゼミ生たちが担当し、SDGsやエシカル消費の認知拡大、さらにはネットショップの商品売り上げに貢献しようと奮闘しています。
自分の興味分野を探求する自主研究
また、自主研究としては、トレンドレポートの調査・作成や卒業論文の制作に向けたリサーチ計画やその実践などが含まれます。トレンドレポートについては、多くのゼミや授業で行われていますが、単なる市場調査ではなくゼミ生自身のトレンドやバズっていると思う物を持ち寄り、なぜそれが流行しているのか、トレンドを評するキーワードは何かなど、逆算的な思考をもとにトレンドの根源を紐解きながら「次のトレンドキーワード」を推測したり考えたりする取り組みをしています。
ゼミや授業、さらにはコラボを通して幅広いジャンルの商品開発やマーケティングに携わる経験をし、その中で自分の興味分野を発見して卒論のテーマとして定め、さらなる探求をしてもらえればと考えています。
社会で必要な「皆で考える」を鍛える場に
ゼミを通じて学んでほしいのは「考える」こと。今見えている景色は、何かしらの理由があってそう見えています。頭を使って考えてその理由がわかれば、次どうなるかも予測できるようになります。学生たちは皆「知りたい」、「教えてほしい」と聞いてくれるのですが、フレームワークや理論といった授業での学びと実践学習などでの経験を思い出し、考えながらみんなで話し合う中でその理由が見つかれば、それに伴って近い未来が見えてきます。このゼミでは、ぜひ「考える」経験をしてほしいと思っています。
ゼミで学んでほしいことは「ワクワクを生み出す面白さ」です。ワクワクを生み出すのは大変だし難しい。でも、楽しいし、作った物が形になる瞬間の楽しさや喜びは何物にも代えがたいです。その瞬間を体感するためには、多様な人々が繰り出すさまざまな意見が必要であり、それを受け入れる人間性も必要です。社会人になれば、すぐには答えが見つからない問題にばかり直面します。その時にいろいろな人の意見を聞き、それを受け入れて考え、自分の意見もしっかり伝える。それを繰り返しながら『Beautiful & Better Life!』を創造する人になってほしいですね。