武庫川女子大学 経営学部高橋ゼミ3年
谷垣百花 塚田桃帆 松田光里
1.はじめに
はじめまして、こんにちは!武庫川女子大学経営学部の高橋ゼミです。
私たちは高橋千枝子先生のご指導の下、3年生15人で活動しています。
第5回の記事では、「α世代」について発信していきたいと思います!
今回、私たちはα世代の実態について調査を行いました。Web上で関西に住む小中学生286名の方々(小学4年生:81名、小学5年生:61名、小学6年生:30名、中学1年生:33名)にアンケートの回答をしていただきました。そこでアンケート結果を分析していきたいと思います。
【調査方法】
WEB調査(定量調査)
・調査期間:2024年11月26日~12月13日
・居住地:関西中心
・性別:男性、女性、未回答
・年齢:10~14歳
・対象:小学生、中学生
回答者数:286名
2.α世代って誰のコト?
皆さん、「α世代」についてご存じですか?Z世代の次の世代として、最近注目が集まってきています。
◆α世代は「2010年はじめ~2020年半ば生まれの世代」
α世代は一般的に「2010年はじめ〜2020年半ば生まれ(2025年時点で最年長が15歳)の世代」のことを指します。α世代の多くはミレニアル世代(1980年代〜1995年生まれ)の子供にあたり、デジタル教育などの影響を受けやすい世代になっています。
日本のα世代(15歳未満)の人口は、現在約1375万人(総務省統計局 人口推計より 2025年1月1日までの概算値)とされており、次世代の消費を担う存在として注目を集めています。
◆α世代の特徴は?
そんなα世代ですが、どのような特徴があるのでしょうか?簡単にご紹介します。
①AIとの親和性が高い
スマートフォンが普及したのちに誕生したα世代。物心がついたときからデジタルデバイスが身近にあり、デジタルツールありきの生活を送ってきた結果、AIの活用が当たり前になっており、Webも学習アプリもAIを活用します。
②リアルとバーチャルの境目なく生活
コロナ禍に人格形成期を迎えたα世代は、在宅時間が増えたことにより、動画配信時間やオンラインゲームが習慣となりました。これに合わせて、仮想空間も生活の一部となりました。
③世界を描き出すクリエーター
仮想空間にも慣れ親しんでいるα世代は、創造力が豊かでアイデアの解像度を明確にすることができます。
④答えありきで考える
α世代は、AIの情報に疑念を持たず、AIに答えを求めます。調べることに時間をかけず、タイムパフォーマンスを重視します。
⑤社会問題を考える成果志向
α世代の親は、それ以前の世代よりも社会課題に敏感なミレニアル世代。その子供であることや、学校でもSDGsに関する教育を受けるため、社会課題に敏感になると予想されています。
詳しくは 関西Z世代女子マーケティングレポート3nd Season プロローグ編 でも発信しています。
3.α世代と学校生活
α世代は現在中学生以下の年代。一体どのような学校生活を送っているのでしょうか?
◆α世代が好きな教科・苦手な教科は?
学校生活の中でいちばん多いのは、授業の時間ですよね。 α世代は、デジタル環境の中で成長し、従来の世代とは異なる価値観や学習スタイルを持つと言われています。そんな彼らには一体どのような学習傾向がみられるのでしょうか?
学校で一番好きな教科について質問してみました。アンケート結果によると、『体育(83票)』、『図工(美術)(47票)』、『音楽(29票)』が上位3つに挙げられました。いずれも楽しみながら何かを体験したり、自己表現のできる教科であり、α世代に人気を集めているようです。
反対に、苦手な教科についても質問しました。アンケート結果によると、『算数(数学)』(68票)、『国語』(54票)、『英語』(43票)が上位3つに挙げられました。いずれも習得のためにはコツコツと積み重ねが必要な教科であり、即座に成果は得られません。そのため、答えありきで物事を考え、タイムパフォーマンスを重視するα世代にとっては苦手意識があるのかもしれません。
◆好きな学校行事は?
続いて、α世代の好きな学校行事について調査しました。圧倒的な人気を集めたのは『運動会』(122票)でした。次いで『音楽会』(41票)『文化祭』(37票)という結果になりました。
◆休み時間・放課後の過ごし方は?
休み時間や放課後の過ごし方としていちばん多かったのは『友達と話すこと・遊ぶこと』でした。(回答内容にばらつきがあるため、このような結果にまとめています。)その中でも、ドッヂボールや鬼ごっこなど、どの世代にもなじみ深い外遊びや、読書や絵を描くこと、ゲームなどの室内遊びが人気でした。
◆部活やクラブ活動してる?
部活やクラブ活動の内容も多様化してきているα世代ですが、どのような価値観を持っているのでしょうか?
α世代に部活やクラブ活動に参加しているか、質問したところ、ほとんどの人が『参加している』(88.1%)と回答しました。その中でも人気の部活動として、運動部では、定番の野球やサッカーといった部活動のほかにも、『バドミントン』『バスケットボール』、文化部では『手芸クラブ』『漫画クラブ』といった回答が見られました。
4.α世代とデジタルデバイス
生まれたころからスマートフォンが身近に存在し、当たり前にデジタルデバイスを使いこなすα世代。一体どのようにして学習に活かしているのでしょうか?コロナ禍を経て、学校でも普及するようになったデジタル端末の使用状況を中心に調査しました。
◆α世代のタブレット端末使用状況は?
学校の授業や課題でのデジタルデバイスの使用状況について質問したところ、『デジタルデバイスを使用している』(77.3%)と回答した人が過半数を占めました。
その中でも約9割が「デジタル教材を使用することが好き」と回答しました。多くのα世代にとって、学習でデジタルデバイスを利用することは当たり前であり、楽しみながら学習を進めることのできる一つのツールになっているようです。
◆タブレットでの学び方
実際にタブレットなどを授業で利用する際、どのような学び方が一番面白いか、質問したところ、下記のような結果になりました。
α世代は、楽しみながら知識を深めることのできる、『ゲーム式で学ぶ』ことを面白いと感じる人が多いことが分かりました。「ゲーム式で学ぶ」とは?と思った方も多いですよね。実際によく使用されているアプリで回答の多かったものから、紹介したいと思います。
◆α世代がよく利用する学習アプリ
【Kahoot!(カフート)】
自作のクイズや小テストを作ることができる学習アプリ。電子黒板やスクリーンを見ながら、クラス全員で一斉に問題に取り組むことができ、最終的には自分の順位や正解数がリアルタイムでわかるような仕組みになっています。ゲーム感覚で取り組むことができ、問題の枠にとらわれない点が魅力です。(アメリカ分校留学に行ったゼミ生も授業で活用していました!)
(出所)ゼミ生撮影
【ミライシード】
協働学習・一斉学習・個別学習それぞれの学習場面に対応した3つのアプリケーションからなる、ベネッセのタブレット学習オールインワンソフト。個人の意見をクラスで共有するなど、他者の考えに触れながら自分の思考を深め、考えの筋道を立てて表現する力を養います。授業支援や生徒のドリル教材として使用されており、AIによって生徒の理解度を分析し、それに合った問題を出題してくれます。正解数や取り組みに応じてメダルやポイントをプレゼントしたり、好きなデザインにカスタマイズできるなど、子供のやる気を引き出し続ける楽しい仕組みで学習を支援しています。
◆α世代が思うデジタル端末の良いところ・困るところ
ここまでで、α世代がデジタルデバイスを楽しみながら学習に活かし、使用していることがわかってきました。そんなα世代ですが、デジタルデバイスを使う上で便利だと思った点と、困った経験について質問してみました。
その結果、便利な点として、『分からないことをすぐに調べられる』『分かりやすくて楽しい』など、自分のペースを乱さず、楽しく学習できるという点を魅力に感じている人が多いことがわかりました。
反対に困ったこととしては、『目が疲れる』『使い方が難しい』『充電の管理が大変』など誰もがデジタルデバイスを使用した際に経験するであろう悩みが多く回答されました。
◆α世代は紙派?タブレット派?どっちが多いの?
デジタルデバイスを日常から学習にも活用するα世代ですが、紙での学習についてはどう考えているのでしょうか?
紙の本やプリントとタブレットを使った学習方法では、どちらが好まれているのか、質問したところ約6割が『タブレット派である』と回答しました。タブレット派の理由としては、「楽しくて便利・すぐに調べられる」といった楽しさや効率を意識した回答がみられました。逆に、4割程度いた『紙派』はどのような点を魅力に感じているのでしょうか?回答の中には、「自分で書くから覚えやすい」「集中できる」など、タブレットと比べて自分の手を動かして書くことによって記憶に定着しやすいと考える人や、通知や他のアプリへの誘惑がないといった意見がみられました。
このことから、デジタルデバイスが日常に浸透しているα世代ではあるものの、まだまだ紙の需要も残っており、デジタルと紙のバランスを取った学び方が今後求められるのではないかと考えられます。
5.α世代とトレンド
α世代のトレンドについて調査しました。こちらについては、自由回答形式のため結果にばらつきが見られました。大きくカテゴリー分けした結果での内容になります。
◆好きな有名人
α世代の好きな有名人について調査しました。最も多かったのが『アイドル・アーティスト』(22.2%)でした。具体的には、Snow Man、Mrs.GREEN APPLE、BTS、TWICE、aespaなどが挙げられます。国内・海外(韓国)どちらにおいても一定数の票を集めました。続いて多かったのは、『芸能人』(16.7%)、『スポーツ選手』(13.3%)、『YouTuber・配信者』(11.1%)といった結果になりました。芸能人では、朝ドラでも話題の女優、今田美桜さんや橋本環奈さん、お笑いコンビのチョコレートプラネット、スポーツ選手ではメジャーリーガーの大谷翔平さんが支持を集めました。YouTubeを中心に活動する、ゲーム実況グループの“カラフルピーチ”、 Youtube登録者数1500万人を誇る、大人気Youtuberの“ヒカキン”さん、東京ドームでライブを開催するなど、こちらも人気の6人組グループ“すとぷり”などが人気でした。
「誰を好きか、憧れるか」という興味や価値観はジャンルを問わず多様化していることが分かります。さまざまなジャンルが支持されており、各々が自分の好きなコンテンツを楽しんでいるようです。
◆好きなアニメ・漫画
続いて、α世代の好きなアニメ・漫画について調査しました。一番多かったのは、昨年連載30周年を迎え、長年愛され続ける大人気推理漫画の『名探偵コナン』(18件)でした。続いて、高校生の世界最強のストライカーを目指し奮闘するサッカー漫画『ブルーロック』 、シリーズ累計5億部を突破し、アニメや映画など、子供から大人まで高い人気を誇る冒険漫画『ワンピース』(同率17件)が人気でした。他にも、人気急上昇中・オカルトバトル漫画の『ダンダダン』、映画も公開され話題になった、バレーボールに情熱を注ぐ高校生を描いた青春スポーツ漫画『ハイキュー』(同率15件)などの回答がありました。
長年愛されてる王道作品に加え、バトル・スポーツ系の作品が特に人気を集めているようです。
◆よく聴くアーティスト・曲
よく聴くアーティストとして、昨年日本レコード大賞を受賞し、メジャーデビュー10周年を迎えた大人気バンドボーカルグループの『Mrs.GREEN APPLE』(12.3%)が最も支持を集めました。他にも、「夜に駆ける」「アイドル」など数多くのヒット曲を生み出した男女2人組の音楽ユニット『YOASOBI』やボーカロイド関連のアーティストも人気でした。また、よく聴く楽曲としては、『こっちのけんと「はいよろこんで」』や『Mrs.GREEN APPLE「青と夏」「ケセラセラ」』などが人気を集めました。
◆流行の入手方法
デジタルが普及しているα世代にとって、流行の入手方法はこれまでの世代とは異なります。調査の結果、1番多かったのはYoutubeやTiktok、Xなどの『SNS』(47.0%)でした。続いて、『友達から聞いた』(13.2%)、『インターネット関連』(13.2%)という結果でした。多くのα世代がSNSやインターネットを通じて情報を収集し、流行を入手しており、逆にテレビや新聞・雑誌といったマスメディアの回答はほとんど見られませんでした。デジタルネイティブなα世代にとって、インターネットの情報源はかなり有力なものになっているといえるでしょう。
6.α世代と将来の夢
最後に、α世代の将来の夢について調査しました。様々な職業が活躍する現代において、将来の夢のあり方も変化してきているようです。
◆α世代のなりたい職業は?
α世代のなりたい職業について質問した結果、『薬剤師』(15件)、『看護師 』『プロ野球選手』(14件)、『YouTuber』(13件)が上位に挙げられました。しかし、一番多かったのは『ない / まだ決まっていない』という回答でした。α世代の生きる現代では、様々なフィールドで活躍する人がおり、職業の選択肢が増えてきています。また、インターネットやSNSの普及を通して、様々な意見を目にする機会が増えたことで、現実的な視点を持つ子供が増えたことも、将来の夢がないという理由の一つではないかと考えられます。
◆その夢を抱くのに影響を受けた人は?
将来の夢を抱くにあたって、影響された人については『家族』(63件)、『自分で調べて』(40件)、『有名人にあこがれて』(31件)といった回答が多くみられました。他にも、『友達』や『学校の先生』など、α世代は身近な人から、自分の将来について影響を受けているようです。
◆夢を持ったきっかけは?
α世代が夢を持ったきっかけとしては、『職場体験』、『自分が好きなことである』、『周りの環境によって』などの回答がみられました。このことから、α世代は育った環境や人との繋がりから夢を見つける傾向が見られました。
7.まとめ
ここまでで、注目の新世代『α世代』について調査してきましたが、いかがでしたでしょうか?α世代は、デジタルデバイスを日常的に活用し、学習や生活においてデジタル技術と共存しながら成長しています。自己表現や体験を重視し、デジタルとアナログのバランスを大切にしながら、柔軟な価値観で自分の未来に対する選択肢を広げているのです。今後のα世代の動向に目が離せませんね!
(参考文献)
・総務省統計局「人口推計 2025年(令和7年)1月報」 2025年1月20日 (https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202501.pdf 最終閲覧日2025年2月7日)
・日経クロストレンド「来る2030年代の消費予測 鍵は「α世代」の行動特性の洞察」2024年5月20日(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00998/00002/ 最終閲覧日2025年1月28日)
・SHANON「α世代とは?特徴や年齢層、価値観について分かりやすく解説」2024年7月10日(https://www.shanon.co.jp/blog/entry/generation_alpha/ 最終閲覧日2025年1月28日)
・teacher-plus「Kahoot!」で楽しいクイズや小テストを作成しよう!2023年1月22日(https://teacher-plus.com/kahoot/ 最終閲覧日2025年2月17日)
・Benesse | ミライシード | 教育情報ONLINE
(https://bso.benesse.ne.jp/miraiseed/index.html 最終閲覧日2025年2月17日)
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