• 2024/02/08

    レポート&コラム

関西Z世代女子マーケティングレポート2nd Season (第4回)推し活編

武庫川女子大学 経営学部高橋ゼミ3年
細岡 咲希 宮本 夏奈葉 吉本 梨沙

1.はじめに
はじめまして、こんにちは! 武庫川女子大学経営学部の高橋ゼミです。
私たちは高橋千枝子先生のご指導の下、3年生12人で活動しています。

第4回の記事ではZ世代の推し活について発信していきたいと思います!

今回私たちはZ世代の推し活についてリサーチを行いました。まずWEB上で推し活をしたことがある、130名の方々にアンケートをお願いし回答していただきました(10代11人、20代114人、30代2人、40代2人、50代1人)。そこでアンケート結果を分析していきたいと思います。 

【調査方法】
WEB調査(定量調査)
・調査期間:2023年10月20日~11月2日
・居住地:全国
・性別:男性、女性
・年齢:10代~50代
・対象:中学生、高校生、大学生、短大・専門学生、主婦・主夫、社会人
回答者数:130名

2.推しはどんな方?推し活って何?
推しのジャンルは十人十色
まず初めに推しのジャンルについて見ていきたいと思います。現代はアイドルやモデル・YouTuberやアニメキャラなど「有名な人(又はキャラクター)」という枠の中でもジャンルが沢山あり、有名人ごとにファンの方が存在します。そのような現代を生きている人は、推し活への興味が大きいのではないのでしょうか。

まず、推しのジャンルは何ですかというアンケートに対しては、『アニメ』(39.3%)と答えた人が最も多く、続いて『漫画』(31.0 %)、『異性日系アイドル』(30.3%)と様々なジャンルにおいて推し活をしている人がいることが分かりました。又、『YouTuber』や『K-POPアイドル』も多くの人が推しのジャンルだと回答し、近年社会において勢いが出ていることが、顕著に結果に現れていました。

推しのジャンル(人)

推しという存在は複数いても良いのです!
推しのジャンルについて見てきましたが、推しのジャンルが多岐であるということは、それだけ推しにしたい魅力的な方が多いはず!つまり、推しが複数いる方がいるのではないかと考えました。ではその予想が当たっているのか、確認していきましょう。

先述したアンケートに回答していただいた130名のZ世代の方々に、推しのジャンルは何ですかという複数回答可能のアンケートをとったところ、複数回答した人の割合は全体の58%でした。このことから、多くの人が複数ジャンルに複数の推しがいることが分かったため、魅力的な方だと思ったら、ジャンルに関係なく推しにして、推し活をしていく方が多いことも分かりました。

複数の推しジャンル(人・%)

推しという存在がずっといても実はその推しの方は同じではない
次に推し変について見ていきたいと思います。推しのジャンルが多岐にわたり、推しが複数いる人が多い現在、同じ推しを一生推し続けるという事は、周りに魅力的な方が多くいる中で難しいことです。そこから私たちは、現代において推しの方が変わる「推し変」をした経験がある人が多いのではないかと仮説を立てました。 しかし、130名にアンケートを取ったところ、50%にあたる65名が推し変をしたことが無いということが分かり、私たちが考えていた推し変をした人の割合よりも若干少ないということが分かりました。

推し変をした経験(人・%)

ですがそれに加え、推し変をしたことがある65名に推し変した理由を聞いてみると、『より素敵な推しを見つけたから(67.7%)』が圧倒的な理由ということも分かりました。

推し変した理由(人)

つまり、仮説よりも推し変している人は少ないが、推し変した理由は仮説の通り、現代において、多岐にわたるジャンルに多くの魅力的な方がいるからということが分かりました。又、推し変の理由として自分の好みが変わったからということが多く挙げられたことは、同じZ世代である調査者3人とも意外と感じました。

同じ推しの方を推していても疲れてしまうこともある。
「推し活疲れ」という言葉をご存じでしょうか?「推し活疲れ」とは、ずっと推しの方を推したい気持ちがあっても、推し活をすることに疲れてしまったという状況を指します。推し活を一旦お休みして、再度始めたことがありますか(対象の推しは同じ方)というアンケートでは、28%にあたる36名の人が『はい』と回答しています。つまり、推しの方を推したいと思っていても、推し活に疲れてしまい、離れてしまう人が少なからず存在することが分かりました。

推し活疲れ(人・%)

しかし、株式会社矢野経済研究所が2021年度の国内「オタク」市場を6840億円と予測しており、「推し活」は経済効果が大きいことも判明しています。このことから、推し活疲れで推し活をしない期間があるのは、日本経済面からみると勿体ないようにも思えます。

「推している」という価値観も十人十色。
推しの方を推すという行為や気持ちは人によって様々です。事実、後ほど詳しく述べますが、推し活における人間関係において嫌なことを経験したこと・困ったことがある83名の内、『推し活の価値観が相手と合わない』ということが嫌だった・困ったと回答している人が36%にあたる27名もいました。つまり、「推している」という言葉は人によって異なる価値観を持ちます。

そんな「推している」という定義が回答者様に選択肢のうちどれが一番近いかアンケートをすると、『応援している気持ちがある時(40%)』と回答した人が最も多く、次いで『曲を聴いたり、アニメ・番組をみており、興味を持っている時(22%)』『(イベントに参加している時間・推しに会うための自分磨き時間などを含む)時間を費やしている時(15%)』『イベントに参加した時(10%)』と回答した人がいました。

「推している」定義(人・%)

このように、「気持ち」さえあれば推している?という人もいれば、(イベントに参加や時間を費やすなど)何か「行動」していないと推している?と思えない人もおり、推し活をしている方が思っている以上に、推し活における価値観は単純明快でありながらも、相手と擦り合わせていくことは難しいのかもしれません。

推しにまつわる場所を巡ったことがある・巡りたい人は多い!
「推しの方を感じる場所」。そんな夢のような場所、自分も行けるなら行ってみたい…そう思う人は多いのではないのでしょうか。実際に、130名に推しにまつわる場所を巡ったことがありますか、又は巡りたいと思いますかというアンケートを取ったところ、80%にあたる 104名の人が『はい』と答えています。

推しにまつわる場所巡り(人・%)

又、先ほどの104名に、場所巡りはどのような時にしたいですか、又はしましたかとアンケートを取ったところ、『イベント(コンサート 等)遠征時のついでに(53.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『場所巡りを目的として日帰りで遊びに行く(39.4%)』『その場所について調べてみて、近かったら行く(38.5%)』『気が向いた時に行く(36.5%)』『場所巡りを目的として泊り旅行を行う(29.8%)』と回答した方がいました。

どのような時に場所巡りをするか(人)

このことから、推しにまつわる場所を巡る際は、泊り旅行をわざわざ企画する程大がかりな時もあれば、他の推し活のついでに行う時もあるということが分かりました。

又、この「推し活における遠出」に目を付けた旅行業界の各社が、推し活を広告におけるキーワードとした交通機関往復チケットとホテルの旅パックを販売する(例:株式会社JR東海ツアーズ「EX旅パック」)などの、推し活という需要への対応が行われていました。

3.推し活では情報が命!

近年、推しについてSNSで情報発信している方をよく見かけます。また、推しの方もテレビ、YouTube、Instagram、Xなど様々な媒体で出演や情報を発信しています。そんな多様な媒体で行われている情報収集・発信について今回見ていきたいと思います。

推し活は情報戦!
推し活において、情報収集は欠かせません。グッズやチケットの発売日や予約開始時間などの情報は、逃せばレア度が高かったり、欲しいものであればあるほど、ものすごく後悔します。そのため、私たちは推し活している人のうち、ほとんどの人が情報収集をしていると仮説を立てました。しかし、結果は100人中30人の人が情報収集していることが分かりました。私たちの仮説より少ない結果になりましたが、推しへの熱量や当人の性格によって異なるものだと考えました。また、推しのジャンルによる情報収集を行うかどうかのばらつきは特にありませんでした。

推し活の情報収集(人・%)

様々な手段で情報をゲット!
先ほどのアンケートで「はい」と回答した100人の方に「どの情報媒体で追いかけていますか? (複数選択可)」と再びアンケートを取ったところ、以下のような結果になりました。

推し活の情報媒体(人)

私たちはX(旧:Twitter)で情報を得ている人が多いと仮説をたてました。結果として、確かにXで情報を得ている人は多かったですが、Instagramで情報を得ている人も多いことがわかりました。Xだと、推しが気軽に発信しているものをリアルタイムで閲覧、コメントしたり、推しの事前の動画投稿サイトでの配信を知ることも出来ます。InstagramやYouTubeだと、ライブ配信をする方や投稿する方もいるので、みなさん、ただ情報を得ているだけではなく、それぞれの推しにあった媒体で楽しんでいることが分かりました。

また、「その情報はリアルタイムで追いかけていますか?」とアンケートをとったところ、7割の方が「はい」と回答しました。「時間が空いた時」や「アプリを開いたときに見る」といった回答が少なかったため、推し優先の生活を送っていることが窺えます。

リアルタイムで情報収集しているか(人・%)

推し活では情報発信も!?
次に、推し活の情報発信について見ていきます。推し活についての情報発信は、Instagramのストーリーでライブ参戦時の投稿をよく目にするため、私たちの仮説では半数くらいの人が情報発信していると考えていました。しかし、実際は130人中30人でした。そのため、予想より少ない結果となりました。

推し活の情報発信(人・%)

情報発信しやすい媒体は?
情報発信している人が130人中30人であるとわかったところで、次に、その30人に「どんな発信媒体(SNS等)で発信していますか? (複数選択可)」とアンケートを取ったところ、以下のような結果になりました。

推し活の情報発信媒体(人)

X(旧:Twitter)とInstagramでの発信が多いことがわかりました。Xはネット上の友達や同士、Instagramではリアルの知り合いに向けて発信しているのかもしれません。上のグラフの詳しい内訳を見ていくと、X(旧:Twitter)のみの方は7人、Instagramのみの方は4人、X(旧:Twitter)とInstagramのみで情報発信している方は13人となりました。他のLINEやTik Tokを選択した方は、単体での選択ではなく、それら+X(旧:Twitter)もしくはInstagramもしくはその両者という結果となりました。推しに関する情報を発信したいと思えるような媒体はX(旧:Twitter)とInstagramであるということがわかりました。

どんな時に情報発信するの?
先ほどと同じく、情報発信をしていると答えた30人がどんな時に情報を発信しているのか見ていきましょう。

推し活の情報発信のタイミング(人・%)

ライブ参戦の投稿はよくInstagramでも目にするので、予想通りの結果と言えます。「推し活の友達と出かけたとき」や「旅行先」というのは、推しのぬいぐるみや他のグッズを持って景色や料理とともに写真を撮って、推しを身近に感じながら過ごすことを含んでいるのでしょう。旅行先については目的が聖地巡礼であることも考えられます。また、聖地巡礼については2.推しはどんな方?推し活って何?推しにまつわる場所を巡ったことがある・巡りたい人は多い!をご覧ください。

他にも、「新衣装お披露目の時」と5名が回答されていますが、アイドルやVtuber(Virtual YouTuber)などを推している方がこれに該当します。推しのジャンルによって、どんな時に情報発信するかは、かなり異なることがわかりました。


4.推しの影響力は半端ない
!!

 推しの方は私達に何かしらの影響を与えている…⁉
推し活をしている人が多い現代、「友達が○○が好きだから私も興味を持って好きになった!」というような影響を、推しの方から受けている人が多いのではないのでしょうか。実際、推しの方に影響されたことがありますかというアンケートでは、82%にあたる107名が『影響を受けたことがある』と回答していました。

推しからの影響(人・%)

それでは、推しの方から影響を受けたことがある人は、どのような事に対して影響を受けたのでしょうか。推しの方にに影響されたことは何ですかというアンケートでは、『趣味(63.5%)』が最も多くの人が回答し、次いで『服装・メイク・髪型などの外見(53.3%)』『交友関係(26.2%)』『学習(23.4%)』『癖(18.7%)』と回答した人がいました。

推しからの影響の内容(人)

これらのことから、推しの方に影響を受ける人は多いことに加え、影響される事柄は多岐に渡ることが分かりました。更に新たな仮説として、現代において、推しの方と推している人との心理的な距離感は昔よりも縮まっているのかもしれないと考えました。 

推しの方が宣伝する。それだけで、その商品を購入するには十分な理由です。
「推しの方が宣伝していた商品を見つけたら、つい買ってしまった」「推しの方が宣伝していないから、もうこの商品を購入しない」「似ている商品があれば、推しの方が宣伝している商品の方を購入する」そんな経験はありませんか。事実、推しの方がCMをしたことがある111名に、推しの方のCMを見て、その商品やサービスの購買意欲が変化したことがありますかというアンケートを行ったところ、76%にあたる86名が『購買意欲が変化したことがある』と回答しています。

推しの宣伝による購買意欲の変化(人・%)

更に、前述した86名に、推しの方のCMではなくなったら、その商品やサービスを購入し続けますか?とアンケートしたところ、『購入し続けない(44.2%)』と回答した人が最も多く、次いで『購入し続けるが、購入頻度が低くなる(40%)』でした。このことから、推しの方のCMではなくなったら、商品やサービスの購入意欲が低くなる人が全体の約85%と非常に多いことが分かりました。

推しの宣伝がなくなった後の購買(人・%)

それでは、なぜ推しの方がCMをしていないことで購買意欲が変化しているのでしょうか。『購入し続けない』と回答した人達の中で特に多かった意見は『推しの方のため(推しにお金がいくや推しの新しい仕事に繋がる など)にならないため』『推しの方とのコラボ製品を楽しみにしていただけ』でした。一方で『購入し続けるが、購入頻度が低くなる』と回答した人達の中で特に多かった意見は、『購入するきっかけは推しの方のCMだったが、その製品を気に入ったため、購入し続ける。しかし、購入意欲は減る』でした。これらのことから、推しの方がCMをするということは推し活をしている人達にとって、とても重要であることが考えられます。

5.推し活にお金はどれ程使う…?

推し活について2.推しはどんな方?推し活って何?でも詳しく見た通り、お金をかけない推し方もあれば、遠征に行ったりグッズを購入したりしてお金をかけている推し方があることが分かりました。

ここで「どのくらいお金をかけているのだろう?」と考えた方がいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、ここからは推し活にどれほどのお金をかけているのかを見ていきます。

所得のうち、推し活の費用の割合は?
推しのグッズを買い集めて祭壇を作ったり、全国各地で行われる推しのライブに全公演参加したりしている様子をSNSでよく目にするため、所得のうち2〜3割は費やしていると私たちは仮説を立てました。

しかし、130名に所得のうち推し活の費用の割合をアンケートで取ったところ53名の方が『1割』と回答しました。次に25名の方が『3割』、その次に16名の方が『2割』と回答しました。以上より、全体の約7割の方が1〜3割のお金を推し活に費やしていることが分かりました。

一番多かったのは1割であり、仮説とは少し違った結果となりました。また、無理のない程度でお金を使い、推し活を楽しんでいるということが分かりました。

推し活費用の割合(%)

また、その他と回答された方にその他について尋ねてみると、ゲームの推しのための課金やグッズを飾るための棚・装飾品という回答がありました。


6.グッズはオタクの生命線

5.推し活にお金はどれ程使う…?でグッズに多くお金を費やしていることが分かったところで、次はグッズについて深堀していきます!

グッズと言えばCDや雑誌、アクリルスタンドなど様々な種類がありますが、どんなグッズを購入したり、どんな風に使っているのか…色んな角度から調査しました。

 グッズは公式から購入する?
グッズはお店に行ったり通販を用いたりして購入しますが、公式の店舗や通販で購入するのか、もしくは非公式の店舗(中古店など)や通販(フリマサイトなど)で購入しているのかを調査しました。

非公式で購入する場合、公式である推しにお金が入らないため、公式グッズを購入する方は多いのではないかと私たちは仮説を立てました。

そこで130名に公式グッズを購入しているかアンケートを行ったところ、109名の方が『はい』と回答しました。8割以上の方が公式グッズを購入していることから、推し活をする上で公式グッズは重要であると考えられます。

グッズは公式から購入するか(人・%)

どんな公式グッズを購入している
8割以上の方が公式グッズを購入していることが判明したところで、「どんな公式グッズを購入しているのか」気になった方は多いのではないでしょうか?
先ほどのアンケートで『はい』と回答した109名の方に、どんな公式グッズを購入しているか調査したところ、このような結果が得られました。

どんな公式グッズを購入しているか(人)

『ペンライト』や『CD』、『タオル』や『うちわ』などライブに関するグッズが上位にランクインしています。『CD』を購入しライブの抽選券を獲得し、ライブの会場で『ペンライト』や『タオル』、『うちわ』を購入するという流れがあるのではないでしょうか。また、二位にランクインしている『アクリルスタンド』は、カフェや旅行先、ライブ会場などで写真を取ることにより、推しと一緒の思い出を作ることができます。つまり、推し活において重要なアイテムと言えるのではないでしょうか。

また、その他ではチェキ、DVD、トレカなどがありました。

欲しいグッズは全て購入できるのか!?
62で様々なグッズを購入していることが分かりました。しかし、推し活の費用は所得の1割が一番多い(51)のにも関わらず、種類豊富なグッズの中から欲しいものを全て購入できているのでしょうか。

公式グッズを購入していると回答した109名に、欲しいグッズを全て買っているかアンケートを行ったところ、68名の方が『いいえ』と回答しました。

欲しいグッズを式をすべて購入しているか(人・%)

どんなグッズの購入を我慢する?
ではここからは、どんなグッズの購入を我慢しているのかを見ていきましょう。

先ほどのアンケートで『いいえ』と回答した68名の方に、何の商品を我慢しているのかアンケートを行ったところ、このような結果になりました。

一位の『服』と二位の『ぬいぐるみ』、四位の『かばん』は、販売価格が高いことが多く購入を見送ることが多いのではないかと思われます。また、三位の『公式写真』、五位の『アクリルスタンド』は種類が多く、価格が安めでも購入を断念することがあるのではないでしょうか。

その他では、ランダムに当たるグッズ、DVD、複製原画などがありました。高価なもの、必ず欲しいグッズが手に入らないものの購入を我慢しているということが分かりました。

どんなグッズの購入を我慢しているのか(人)

グッズはどんな風に使っているの?
様々なグッズを厳選して購入していることが分かったところで、ここからは購入したグッズをどのように使っているのかを見ていきたいと思います。とは言っても、多様な使い方が考えられるので今回は「グッズのアレンジ」について限定し、アンケートを取りました。

公式グッズを購入していると回答した109名に、購入した公式グッズをアレンジして使用しているかアンケートを取ったところ、19名の方が『はい』と回答しました。

購入した公式グッズをアレンジして使用しているか(人・%)

 

そしてこの19名に、どのグッズをどのようにアレンジしているのか尋ねたところ、このような結果になりました。
6-2で一番購入されていたペンライトのアレンジは少なく、第7位の公式写真が一番アレンジされていることが分かりました。公式写真はアクリルスタンドのように持ち歩き、足を運んだ先で公式写真と共に撮影する推し活が流行っています。その中でも公式写真を保護するケースをデコレーションすることで、他の方と差別化を図ったり、公式写真を自分の解釈して反映したりできます。この点から公式写真のデコレーションが一番多い結果になったのではないでしょうか。

どのグッズをどのようにアレンジしているのか(人)

不要になったグッズはどうする
これまでどのグッズを購入するのか、購入したグッズをどのように使用しているのかを見てきました。そして、ここからは購入したグッズが不要になってしまったときどうするのかを見ていきたいと思います。
公式グッズを購入している109名に、不要になったグッズを売る・トレードなどをするのかアンケートを取ったところ、41名の方が『はい』と回答しました。

不要になったグッズを売る・トレードなどをするのか(人・%)

また、売って得たお金は何に使用したか、『はい』と回答した41名に尋ねたところ、このような結果になりました。売ったグッズと同じ推しの費用が一番多く、その次に違う推しへの費用と娯楽費がランクインしました。複数のジャンルに推しがいる場合、欲しいグッズは増えるのに費用は一定額のため、このように上手くお金のやりくりをされているのではないかと感じました。

グッズを売って得たお金は何に使用したか(人)

公式グッズを公式外で購入したことはある??
次は、公式グッズを公式以外で購入したことがあるかを見ていきましょう。この公式以外とは、中古販売店やフリマサイトを指します。

公式グッズを購入している109名に尋ねたところ、54名と約半数の方が『はい』と回答しました。先ほど6-6で述べたように、複数の推しがいる場合は一人一人にかけられる費用が減り、欲しいグッズが増えるのにも関わらず購入が難しくなります。そんな方は公式で購入するよりも、安く購入できる中古店やフリマで購入するのではないでしょうか。しかし、公式である推しからグッズを購入して応援することは出来なくなってしまうので、その面から『いいえ』と回答した方が1票だけ多くなったのかもしれません。

公式グッズを公式以外で購入したことがあるか(人・%)

非公式グッズは購入する?
今まで公式グッズに関してアンケート結果を見ていきましたが、ここからは非公式グッズについて見ていきたいと思います。

非公式グッズとは、①推しを意識した商品(洋服やカラードリンクなど)、②同人誌や非公式写真が挙げられます。今回の調査では、非公式グッズを①と②に分けてアンケートを行いました。

推しを意識した非公式商品は購入する?
①の推しを意識した商品とは、メンバーカラーや推しを意識した推しカラーの洋服や雑貨、カラードリンクなど食品を指します。推しを意識して作られた商品ではなくても、推しカラーが取り入れられた商品であれば推し活のグッズとして使用することがあるのです。具体的には、推しのライブで推しカラーである赤の服を着るために購入する、などが挙げられます。

130名の方に推しを意識した非公式商品を購入するのかアンケートを行ったところ、39名の方が『はい』と回答しました。約三割と低い結果になりましたが、推しを意識した商品ではないのにも関わらず、推し活をしている消費者の認識で推しのグッズになる事実は凄いことではないでしょうか。

推しを意識した非公式商品を購入するのか(人・%)

公式ではない非公式グッズを購入する
では、②の同人誌やハンドメイドのアクセサリーなど非公式グッズを購入する方はどのぐらいいるのでしょうか。こちらは①と違って、推しを意識した商品を公式以外の方が製作されている商品を指します。

アイドルなど三次元の方が推しであれば、私生活で着ている服やアクセサリーを購入して身に付けるなどがありますが、二次元の方が推しであれば、公式から推しが身に付けている服やアクセサリーが販売されることは多くないためファンの方が手作りすることがあります。このハンドメイドアクセサリーを購入する、というように非公式グッズを購入する方は少なからずいるのではないかと私たちは仮説を立てました。

実際に130名の方に非公式グッズを購入するかアンケートを取ったところ、15名の方が『はい』と回答しました。どんな非公式グッズを購入しているか尋ねたところ、同人誌やぬいぐるみ、ハンドメイドのアクセサリーが挙げられました。

約1割という結果に、仮説よりも少ないと私たちは感じました。ハンドメイドのアクセサリーであれば自分で作成することもできますし、推し活をされている方にとって非公式グッズはマイナーなのかもしれません。

ハンドメイドなど非公式商品を購入するのか(人・%)

 

7.推し活での人間関係

推し活で気をつけていること
どんな時にも付きまとうのが人間関係!ということで推し活に関する人間関係について見ていきたいと思います。アンケートに協力してくださった130名のうち、推し活について話すときに気を付けていることがあると回答した人は102名いました。約8割の人が気を付けていることがあるようです。それでは、どのようなことに気を付けているのでしょうか?

推し活で気をつけていること(人)

最も多かったのが「自分の推しを押し付けないように」で59人、次に「熱が入りすぎないように」が49人、「ネタバレしないように」が42人、「同じ話を何度もしないように」が32人、「同担拒否の子かもしれないから、その子の推しの話をしない」が17人、「話さない」が3人、「相手の推し活への価値観を探りながら話す」「そもそもオタクを隠しているので相手がオタク出ない限りそういった話はしない。」「話す相手を選ぶこと」が各1人でした。多かったものから見ていくと、「自分の推しを押し付けないように」「熱が入りすぎないように」の2つは推しへの気持ちが大きいので、相手の迷惑にならないように抑えながら話しているようです。「同担拒否の子かもしれないから、その子の推しの話をしない」というのは推し活特有と言えるのではないでしょうか。推しが同じだと嫌だと感じる人もいるため、話すときも相手の推しや同担拒否かどうかを気にして話しているようです。「相手の推し活への価値観を探りながら話す」は推しの定義が人によって異なるため、考えながら話している人もいることがこのグラフから見て取れます。推し活の定義について知りたい人は2.推しはどんな方?推し活って何?「推している」という価値観も十人十色。をご覧ください。

 推し活のこんなところが嫌だ
推し活において、人間関係で困ったこと、嫌だったことがあると回答した方は130人中84人、全体の約6割いるということがわかりました。ここでは、その84人の方がどんなことに困った、または嫌だったかを見ていきたいと思います。

推し活でいやなこと(人)

「ライブやイベントでのマナーが悪い人がいること」が60人でいちばん多かったようです。ファンのマナーを良くするために、会場での案内に工夫を凝らしている推しの方もいます。たくさんの人がいると、どうしても嫌な思いをしてしまうひとが出てしまうようですね。「SNSの治安が悪いこと」が48人、ファンもそうでない人も書き込んでいるので、荒らすことを目的にしてる人や、ファンでも、気持ちが行き過ぎて周りに迷惑をかけていることがあります。「推し活の価値観が合わない(お金の使い方、熱量など)」が36人。推しているつもりでも、よりお金と熱量をかけている人からすれば推していないととられることもあるため、解決が難しい問題です。「友人が転売をしてた」が4人、転売に関しては、国も対策を講じようとしているようで、2024年の第38回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2024 SPRING/SUMMERでマイナンバーカードで本人確認出来た方を対象にチケットの先行抽選販売を開始するとのことです。

推しのこと恋人に隠す?隠さない?
130人の方に「恋愛で推し活をしていることを隠しますか、隠しませんか?」とアンケートをとったところ、恋愛において、推し活していることを「隠す」または「ジャンルにより隠す」と回答した人は全体の約4割いるということがわかりました。

恋愛で推し活をしていることを隠しますか、隠しませんか(人・%)

推しのこと恋人に隠すならどのジャンル?
先ほどのアンケートで「隠す」または「ジャンルにより隠す」を選択した51人の方に隠したいジャンルについて再びアンケートをとりました。結果について詳しくみていきましょう。

隠したいジャンルについて、BL(ボーイズラブ)、GL(ガールズラブ)、同人誌が多いと私たちは仮説をたてていましたが、それに加えてアニメ、異性アイドル、次いでVtuber、YouTuberが多かったです。

推しのこと恋人に隠すならどのジャンル(人)

アニメに関しては、そのアニメのジャンルによっても隠さないかどうか変わってくるのではないでしょうか。例えば、スポーツ系のアニメだと性別、年齢問わず幅広く親しまれている印象です。一方、恋愛ものは好みが大きく分かれるため、スポーツ系のアニメほどオープンに人に告げたりはしない印象を持ちます。BL・GLは特にオープンにしにくいジャンルになっています。近年では本屋でBL専用の本棚が置かれてるところもありますが、本屋より、アニメショップなどのオタクの多い店で買うほうがハードルは低いそうです。異性アイドルについては、恋愛において隠すか隠さないかとなってくると、相手のことを考えて隠すという選択肢を撮られている方が多いのかもしれません。Vtuber、YouTuberに関しては、特にVtuberだと認知度にばらつきがあり、相手が理解してくれない可能性も考えられます。

いつ打ち明けるか・・・
同じく、先ほどの51人の方に、今度は「いつ打ち明けるか」についてアンケートを取ったところ、このような結果になりました。

いつ打ち明けるか(人・%)
私たちが予想していた通り、「ノリと勢い」が一番多く、約半数である25人の方が回答しています。次が「付き合ってしばらく経ってから」で18人です。「打ち明けない」は7人の方が回答していましたが、7人中6人が隠したいジャンルでBLを選んだ方でした。あとの1人はYouTuberを選択していた方です。前者の6人はBLだけの人もいましたが、それに加えてGLや同人誌を選択している方もいました。隠したい人が多いBLですが、「ノリと勢い」「付き合ってしばらく経ってから」を選択された方の中にも、もちろんいました。このあたりの差は、本人の性格や恋人が寛容そうな人かによって変わってくるものだと思われます。今回は少数であった「付き合う前」を選択された方は隠したいジャンルが多い方でした。このように、推し活は恋人との関係の構築にも密接に関わってきます。様々な考えを皆さんは持っているため、一概にどれが正解かというのはありませんが、推し活を楽しみながら、恋人とも良い関係を築いていってほしいです。


8.まとめ

推し活において、推しへの熱量、費やすお金や時間など、人によって全く異なり、それゆえの人間関係の悩みや嫌だったことも様々です。また、費やせる金額も決まっているため、購入できるグッズ、我慢しなければいけないグッズも出てきます。だからこそ、ひとりひとりが推し活で自分の「推し」への気持ちを大切にして、十人十色な推し活をしているのだと考えられます。

(参考文献)
「オタク」市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 (yano.co.jp)閲覧日(2023/11/23)

推し活を応援♪イベント・コンサートならEX旅パック|JR東海ツアーズ 新幹線旅行の予約(EX旅パック) (jr-central.co.jp)閲覧日(2024/2/4)

エンタメ領域におけるマイナンバーカードの利用シーン拡大を目指し、不正転売防止等に関する実証実験を実施します|デジタル庁 (digital.go.jp)閲覧日(2024/2/7)

 

 

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(連絡先)武庫川女子大学経営学部教授 高橋千枝子
chietaka★mukogawa-u.ac.jp(★を@に変更してお送りください)

【武庫川女子大学】
兵庫県西宮市にある、2024年4月より12学部20学科となる大学・短大を合わせ約1万人の女子学生が学ぶ、日本最大の女子総合大学。多種多様な学びが特長で、高い専門性と幅広い教養を身に付けて、自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性をめざす。
(武庫川女子大学HP:https://www.mukogawa-u.ac.jp/index.html )

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