実践活動の目的
六甲山上の12会場で実施される現代アートの展覧会をフィールドにして、参加観察、インタビュー調査、報告書作成および報告会を行い、イベントの実態や評価、今後の展望について多角的実証的に考察する。
実践活動の概要
10月中旬、2日に渡り来場者として行動観察を行う参加観察を実施。来場者の多い土日を基本に全12会場を訪問した。1日目は、1日間でめぐるモデルコースを参考に参加観察、2日目は、1日目の参加観察で気になった会場をもう1度訪問した。11月13日(土)14日(日)、会場内に調査地点を設け、2〜3人一組のチームで来場者を対象にインタビュー調査を実施。事前に決められたインタビュー内容に沿って対面でのインタビューを行い、記録シートに記入する、という方法である。11月中旬、インタビュー調査データについて集計・分析を行った。インタビュー時に記録した内容を定型の記録シートへ記載。1月、集めたデータをまとめ報告書を作成。18日、報告会にてイベントの実態や評価、今後の展望について報告し、六甲山観光(株)の方々と意見交換を実施した。
実践活動での学び・発見
実際に来場者の一員として参加することで、主観的に六甲ミーツアートの実態をとらえることができた。私が参加観察した日は、運の悪いことに途中から豪雨に見舞われ、気温が大きく低下した。天気によってここまで寒くなるのだと正直驚いた。来場者の方が緊急時に気軽に買えるような価格の防水・防寒グッズの販売が必要であると感じた。また、ほとんどの作品に説明書きがなく、初めてアートに携わる私にとってはこの作品が何を伝えたいのかがはっきり理解できなかった。作品の説明や裏話がある方がよりアートを楽しめると思った。参加観察で気づいたことをグループで話し合う際には、それぞれの視点からの感想や意見が飛び交い非常に面白かった。
私たちはインタビュー調査を通して、来場者の客層は若者から家族連れ、ご高齢の方まで、幅広い層の方々が訪れている印象だった。そして、来場者の方々の要望に応えるために、バスの本数を増やす、無料の休憩所を設置する、コンビニを設置する、などの案を考えた。
私は、今回の実践学習でインタビュー調査を初めて経験した。ROKKO森の音ミュージアムでは、時間帯が早かったということもあるが、全体的に人が少なく、インタビューになかなか応じてくれなかった。意外にも精神的ダメージが大きく、忍耐力と集中力が必要であると感じた。
報告会では、六甲山観光の方々が真摯に私たちの発表を聞いてくださり、貴重な質問や意見を頂いた。なので、改善点や今後の展望などについて意見交換をすることができた。私が意見交換で特に印象に残っているのは、私たちは参加観察において、全体的に家族連れ、老夫婦が多かったということを発表したが、六甲山観光の方々は「六甲ミーツアートは若者をターゲットにしている」とおっしゃっていたため、まだまだ宣伝が足りないのではないかという結論に至ったことだ。効果的な宣伝方法として、若者の目に留まりやすいインスタグラムのストーリーやTikTokなどで情報発信をしていくとのことである。
振り返りと次への準備
私はこのプロジェクトの大きな利点は、実際に参加観察で六甲ミーツアートと触れ合うことで、来場者視点で正確にイベントの実態をとらえられたことだと考える。そして、インタビュー調査において重要なことは、いかに短時間で必要な情報を引き出せるかである。今回は事前に定型のインタビュー内容が決められていたが、今後円滑にインタビュー調査をすすめるためには、あらかじめ質問の手法や内容を明確にし、しっかりと段取りをつけることが必要だと思った。次に参加するプロジェクトでは、今回のプロジェクトで学んだことを活かし、グループ内でのコミュニケーションはもちろん、たくさんの人との関わりを持ち、自分に無いものを吸収していきたいと思う。
(経営学科2年生 山下真永)